「仕事のおかげで収入、知り合いができる」と思えるか
「幸せ」の定義はいろいろあります。健康であること、愛する人がいること、家族や友人と心が通じること、仕事で成功すること、経済的に困らないこと、有名になること……それらはすべて「幸せ」なことです。
それでも、いつもいつも幸せということはなくて、どんな人にも自分や家族が病気になったり、仕事が順調にいかなかったり、友人に裏切られたりなどの苦労は、必ずついて回ります。
そんなときに、ものの見方を変え、気持ちが落ち込んだり自暴自棄になったりするのを防ぐことができる、いわば「レジリエンス」(復元力)を持っているのが「幸せな人」なのです。
たとえば、毎日仕事をしっかりこなしていても、仕事の意義が納得できず疲れる、面倒だ、苦労が多い、やりたいことができない、といった受け止め方をすると、とても幸せな気分ではいられません。
でも、仕事をしているおかげで収入がある、仕事で知り合いができる、仕事を通じて世の中の役に立っている、税金や保険料も納付して社会に貢献している、というように、ちょっと見方を変えれば、幸せな気持ちになります。
あるいは、家族や友人が病気になった場合、その世話をするのは大変ですが、悪いことばかりではありません。相手から感謝されると、自分が愛する人を支えているという実感が湧いてきます。それが自分を幸せにします。
自分の行動が相手の役に立っている、社会を支えていると思える気持ち(自己効力感)こそが、「貢献」ということから得られる最大の報酬です。
稲盛和夫や松下幸之助が大成功した理由
それだけではありません。社会貢献をしていると「貢献寿命」がのび、健康寿命ものびるのです。
稲盛和夫さんや松下幸之助さんのように大成功した経営者は、「事業を通じて人々に便利で豊かな生活を提供するために、安くてよい品質のものをつくって顧客の役に立とう。そして社会に貢献しようとしたから成功したのだ」と語っておられます。
反対に、「どんな手段を使っても金儲けをしたい、利潤を上げたい、人に注目されたい」というきわめて利己的な動機で事業をする経営者は、エネルギーがあるので一時的には成功するかもしれませんが、長期的には顧客の支持も得られず、社員のやる気も高めることができず、なかなか成功することができません。
もちろん、どれだけ動機がよくても、経営者として高い品質のモノやサービスを提供し、コストを削減していかなければ成功できないのは当然ですが、動機が利己的で不純だと、一時的にはうまくいっても持続的成功は難しくなります。