日本人は「不動産信仰」が強い
日本人はとりわけ不動産への信仰が強くて、持ち家志向も強いといわれている。持ち家と借家の比率をみてみると、6割以上が持ち家だ。特に高齢者になるほど持ち家比率は高く、8割を超える。
夢のマイホームを手に入れるために、住宅ローンを組んでいる人がたくさんいる。なかには、退職金を当てにしてローンの完済計画を立てている人もいるだろう。
しかし、「住む家を購入するのと賃貸で借りるのはどちらが賢い選択か」と問われれば、筆者は「何も資産がないなら賃貸のほうがいい」と回答する。
持ち家に人生を懸ける必要はない
なぜなら、持ち家は賃貸よりもリスクが高いからだ。例えば、東京生まれで昔から土地を持っているような人が家を建てるのは、まだわかる。しかし、地方から来て、資産もないのに、なぜわざわざ高いお金を出してまで家を持とうとするのか。
すでに地元に土地があるなら、わざわざ2カ所も土地を持つ必要はない。日本人なら土地は1カ所で十分だ。お金が有り余っていて、ほかに使い道がないのならともかく、かつかつの生活でローンを組まないといけないようなら、人生を懸けてまでしてそんな大きな買い物をする必要はない。
仮にこれが自動車ローンなら、金額も大きくないし、数年で返済できるから大きな問題にはならない。だが、家は数千万円の買い物で、しかも返済期間が35年などと長いから、その分だけリスクも大きくなる。ただ住むだけなら家を借りるほうが気楽だ。
なかには「賃貸は月々の家賃の支払額がローン返済額よりも多い」という反論があるかもしれない。たしかに、大家があこぎな商売をして、家賃を相場よりも高めに設定していれば、家を買ってしまったほうが得な気もする。