一番多い勘違い「新NISAは損しない」

“神改正”とも言われ、メディアでも大々的に取り上げられている新NISAゆえ、「はじめないとヤバくない?」「やらなきゃ乗り遅れる」といった感じで、私のもとにもたくさん若い方から(特に女性が多い!)問い合わせがきています。その一方、これはマズいかも、と感じることもありまして……。

一番多い勘違いは、「新NISAは損しない」です。つみたて投資枠(旧つみたてNISA)でいえば、6000本ほどある投資信託の中で、国が定めた一定の基準を満たす商品が約280本(2024年4月現在)ラインナップされています。そのことが、「国が選んでおすすめしているなら安心・安全」という思い込みを招くようで、「新NISAは損をしないもの」と勘違いしている方が非常に多いのです。

国が積極的に展開しているものであっても、投資において、「絶対損しない」「必ず得をする」商品はありません。実際、成長投資枠で一気に買い付けて値下がりした人もいますし、今は好調でも、今後暴落する可能性もある。投資は常にリスクと隣り合わせであることは“基本のき”である以上、新NISAにおいても、「長期・積立・分散投資」を心がけてほしいと思います。

「下がると怖い」つみたてNISAでは“狼狽売り”も

「長期・積立・分散投資」とは、決まった間隔で一定額を長いスパンで積み立て、さまざまな投資先に資産を分散させること。長期・積立・分散投資は、20年以上続けることで元本割れする可能性が低くなるものです。金融庁からも、長期投資によって収益が安定的に推移するという解説が公開されていますので、ぜひ確認してみてください。(金融庁「資産形成の基本」)

写真=iStock.com/shylendrahoode
※写真はイメージです

旧NISAのつみたてNISAをやっているお客様から、コロナショックやウクライナショックなどの暴落局面の時に、「下落したんですけど売った方がいいですか?」という問い合わせや、「下がると怖い」という連絡がきたり、“狼狽売り”する方も続出。「1、2万円であっても、一時的でも、元本割れすることが耐えられない」というお客様もいましたが、値下がりは、“仕入れ時”。売却のことだけ考えると損したように思えますが、安いということは例えば、投資信託での積立投資ならその分、口数が多く買えるということ。「長期・積立」を続けることによって価格変動の影響が抑えられ、リスクが低くなるのです。

また、高齢の方の場合、「債券」というワードに対して安心感を持つ方が多いそうで、新興国債券をポンと500万円分、買ってしまうようなお客さまがいると聞きます。また、「外貨建て保険」も、「保険」というワードが投資の顔をしてないように見えるからか、これまた大きな金額をドンっと入れてしまう方が後を絶ちません。「債券」も「外貨建て保険」も「新NISA」もすべて投資商品であり、常にリスクを孕んでいることをどうかお忘れなく。