造反の野田聖子氏「立法府の一員として違和感」と指摘

2024年4月16日の衆議院本会議では、自民党の野田聖子議員が造反、共同親権法案の採決時に起立しなかった。処分を恐れず反対した理由として「法律をつくる側としては、調理されていないものを出されるような感じ」「子どものための法律だったはずが、これでは私は賛成しかねる」と話す。

共同親権の導入で、婚姻関係になくても男性は子の親権の申し立てができるようになる。最悪のケースとして、ストーカーや元恋人が女性に不同意性交をして、妊娠・出産させたあと、子を認知し(法律上、女性は認知を拒めない)、家庭裁判所に親権の申し立てをする可能性も考えられる。

もちろんそれで親権が認められる可能性は低いが、女性は審理に応じるために、多大な精神的・時間的・経済的負担を負わされる。こういった粘着・嫌がらせ行為を可能にしてしまうのも、共同親権の「法の穴」のひとつだ。

また共同親権を選ぶと、再婚して新たなパートナーと子どもの養子縁組をする際にも元配偶者の同意が必要となる。離婚済み家庭にも適用されるので、すでに養子縁組をしているステップファミリーにも問題が立ちはだかるかもしれない。

自民の伝統的家族観、また旧統一教会の教義に沿う内容

このように共同親権は多くの問題点を抱えているが、与党は強引に通そうとしている。2023年の第211回国会に共同親権の請願が出されており、その紹介者13名には、柴山昌彦氏、牧原秀樹氏、下村博文氏、三谷英弘氏、谷川とむ氏、保岡宏武氏など、旧統一教会と関わりのあった議員も多い。

日本の共同親権は、結果的に血統主義や家父長制を肯定する内容になっている。これは自民党の掲げてきた「伝統的な家族観」に沿うものであり、また離婚を実質的に否定していた旧統一教会の教義にも合致する。

共同親権推進派の谷川とむ氏は、4月5日の衆議院法務委員会で「離婚しづらい社会になるほうが健全だ」と話し、ネットで炎上した。はたして離婚しづらい社会は健全か。むしろ共同親権の導入で、ますます結婚や妊娠をリスクだととらえる人が増えるのではないだろうか。

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