MLBが提携を結んだ「ファンタジースポーツ」とは
補足説明すると、MLBが提携を結んだFanDuelの「ファンタジースポーツ」とは、スポーツベッティングではなく、あくまでゲームの一種。プロスポーツ界に実在する選手を集めて架空のチームをつくり、選手たちの成績をポイント化してオンラインで競い合うスポーツ・シミュレーションゲームのことだ。
架空チームのポイントは、選んだ選手が現実の試合で出した成績に連動する。ただ、コンテストでは多額の賞金が出ることもあり、スポーツベッティングと並んで人気がある。野球、バスケ、フットボールなどのメジャースポーツだけでなく、マイナースポーツやアマチュアスポーツを対象にすることもある。
スポーツベッティングは「アメリカを支える成長産業」
日本のメディアも、スポーツ賭博やギャンブル依存症に目を向けている。
大谷会見と同じ日に毎日新聞は、米プロバスケットボールのNBAで、スポーツ賭博に関連する不審なプレーがあったという記事を掲載した。2日後の3月28日、日本経済新聞は、ネットカジノが急速に普及するアメリカで、ギャンブル依存症対策に注力しだしたという記事を掲載した。どちらの記事も、水原氏の事件にからめて報じている。
日本で球技などのスポーツを対象とした賭け事は、公営ギャンブルの「スポーツくじ」しか認められていない。「スポーツくじ」は、サッカーとバスケの試合について勝敗や得点を予想して賭ける。「野球賭博」は犯罪だから、有名人が手を出すと反社会的な行為として世間を騒がせることになる。
「POLITICO」「The Guardian」の記事にある通り、アメリカではスポーツを対象にしたギャンブルが急増している。英語の「sports betting」は、日本でいう「スポーツ賭博」ほど悪いイメージはない。最近の世論調査で、アメリカ人の39%が「スポーツベッティングを経験したことがある」と回答したほど、一般的で身近なものだ。アメリカ人がスポーツベッティングにつぎ込む金額は年々増加していて、いまやアメリカ経済を支える成長産業、巨大ビジネスとも言われている。