「ジェンダーの脈絡ではなかった」と弁明

まず、朝日新聞記者が「『男の子はお母さんに育てられる』という発言について、ジェンダーの問題からして、性別の役割分担につながるのではないか」とただした。

川勝知事が「子育ては命をつなぐ尊い仕事ということで、男女関係なしで、母親も父親も一緒に育てていく、当たり前のことだ」など回答した。

納得できない記者は「発言はその趣旨とかけ離れている。改めて撤回したほうがいいのではないか」と求めた。

これに対して、川勝知事は全く別の話を持ち出して、長々と説明した上で、川勝知事は「女性にもサムライスピリットがあるという意味で申し上げた」と逃げた。

記者は「趣旨はわかるが、『男の子はお母さんに育てられる』という発言に問題がある。お母さんを持ち出す必要はなかった」と繰り返した。

ところが、今度は、西郷隆盛や薩摩隼人などの侍のイメージを持ち出して、母親と男の子の関係を自分勝手な解釈で説明した上で、川勝知事は「男女のジェンダーの脈絡ではない」などと退けた。

記者が「発言自体に問題はなく、撤回する必要はないということか」と確認すると、川勝知事は「誤解を招く発言であったことは反省している」としたが、発言は撤回しなかった。

記者に向けられた「マスコミの切り取り」批判

テレビ静岡の女性記者が「知事は過去にも、女性の容姿や学力を結びつける発言をし、『お母さんとか女性はこういうものだと決めつけたのは、パターン化した時代錯誤的な発言だった』と反省の弁を口にしている。今回の問題は、その頃からの価値観がアップデートされていないのではないか」とただした。

筆者撮影
3月26日の知事会見(静岡県庁)

川勝知事は「お母さんだけでなく、お父さんの役割も大きいという脈絡で申し上げた」などと逃げたため、記者は「(どんな)脈絡があったとしても、こういった発言の切り取りだけで県民は(理解)すると思う。(発言は)切り取られてしまってこのような問題となる」と、今回の騒ぎの本質をついた。

川勝知事は「そうですね。切り取りが問題だ。はい」と、まるで「切り取り」をした報道に問題があるかのように責任を転嫁してしまった。

これに対して、共同通信記者が「今回の場合は、切り取りではなく、記者会見で説明したような知事の真意の説明はなかった」と断言した。