偉大なスポーツ選手も、結局は同じ人間である
また、名選手本人の転落劇というのは野球界では賭博常習犯であったピート・ローズさんが永久追放されている一方、ゴルフ界でも現在の大谷さんなみに声望を集めたタイガー・ウッズさんも大変なスキャンダルに見舞われました。アメフトの著名プレイヤーであったO.J.シンプソンさんも元奥さんや友人を射殺した嫌疑で逮捕され社会的騒動となりました(刑事裁判では無罪)。
そんな中、大谷翔平さんがこれらの堕ちていったスーパースターと同列になることは現段階では考えにくいものの、偉大なスポーツ選手あるあるというか、そういう人でも結局は人間なんだなと思うわけですよ。だって、いくら稼ぎがあるからと言って、常識的に7億円もの口座を親しい通訳兼付き人に自由に使わせますかね。経費の支払いがあるにしても、それだけの資金を持っている人であれば、会計に詳しい人を置いたり税理士や公認会計士ほか金融サービスを使ったりして、一定の管理はするものだろうと個人的には思います。
もちろん、私だって会社経営や投資をする中でとんでもないトラブルに巻き込まれたことはあります。稼業の産業廃棄物事業を父親から経営移管された際に、虎の子であった3000万円ほどの設備を当時雇っていた幹部社員と中国人社員に勝手に売り払われてしまって、設備がないことに気づいたころには逃げ散られていたこともありました。人間、ちゃんと目が届くように経営しないと横領なんて日常的に起きるというのは中小企業経営では当然あるリスクであるとも言えます。覚えてろよ。
「まともなやつがいない」というヒリヒリした状況
裏を返せば、そんな超人的能力を誇る大谷翔平さんも「人を見る目がなかった」というよりは、他人を信じすぎた甘い面があったってことだと思うんですよ。決してギャンブル依存症の人の前に自由に手を付けられる億単位のカネを置いておくなって話だけではありません。これはもう誰だって、使い込んで当面バレないカネがあったら手をつけちゃう誘惑にかられるものでしょう。
例えば深夜酔って帰宅途上に、足元にぽつんと100万円の札束が落ちていて周りに誰も居なそうだってなったとき、おまえ警察に届けますか。100万なら怖い? じゃあ5万円なら? 1万円なら? 人によってネコババするお値段は異なるかもしれませんが、世の中そんなもんだと思うんですよ。バレないならもらったれ、っていう。
ましてやギャンブルやっていたとされる水原一平さんなら、理性では「ずっと大谷翔平さんにくっついて通訳としてはあり得ないぐらいの高額報酬を得て、世間的にも愛されキャラのままで幸せな人生をまっとうできるかもしれない」というセーフゾーンより「おっ、目の前に10億円あるやんけ、バレないようなら賭博に使ったろ」と思う天使と悪魔はいたと思うんですよ。
その結果が、そんな奴を信用して自分の輝かしいキャリアを危険に晒している大谷翔平さんの釈明会見であり、一気に中小企業経営者の「誰一人まともなやつが周りにいない」というヒリヒリした状況で経営している現実に引き戻されるのです。分かる、分かるぞ大谷翔平。目が行き届いてないと、ダブルチェックしたつもりでも横領されてカネは使い込まれるもんやねん。信頼していたはずの幹部が部下と取引先奪って独立するのを涙目で背中を見送ったりするんだよ。ちくしょうめ。