ジュネーブモーターショーは自動車業界の縮図
今回のショーだけを客観的に見ると、ルノー以外の欧州ブランド車はヒストリックカー展示コーナーでしか事実上見ることができず、もはやノスタルジーの世界で、新型BEVは圧倒的に中国ブランドが強い、という印象になる。
この状況が長く続くと、人々のパーセプションもそのようになってしまう危険性がある。
EUも、こうした状況に対し、ようやく危機感を抱いたようだ。
中国製BEVに対して中国政府が不当な補助金を出しているか調査し、結果次第では輸入規制に乗り出すとしている。
冒頭に記したとおり、今回のジュネーブモーターショーはBEVを巡るEUの苦悩と中国の勢いをまさに絵に描いたようなショーだったのである。
欧州ブランドのピンチと日本のチャンス
デジタル時代といわれ、各ブランドのマーケティング活動もデジタル化が進んでいるが、やはりリアルな展示はデジタル画像とはまったく異なる印象を与えるので、ブランドイメージ構築と維持には必要不可欠と思う。
このままでは欧州自動車産業は本当に衰退してしまう危険性があると思われる。BEV化という、現状では困難な道に突き進んでしまったツケが回ってきているのだ。
日本ブランドも欧州ブランドにつきあって出展していないが、ハイブリッドという現実的な解を持つ日本ブランドはブランド力アップの絶好の機会であり、これを逃すべきではないと思う。
ちなみに現在、日本車に近い燃費効率を持つ本格的なハイブリッド車を販売している欧州ブランドはルノーのみである。