2016年以降モーターショーの規模縮小が続いたワケ
実は、モーターショーの規模縮小は2016年以降ひとつのトレンドになっていた。
逆に、2015年あたりまではモーターショーは規模が拡大傾向で、2013年や2015年のフランクフルトモーターショーなどは各社ともかなり大がかりな展示を行っていたのである。それがなぜ2016年以降突然風向きが変わったのか。
その発端は、2015年のフランクフルトモーターショー閉幕直後に発覚した、フォルクスワーゲンのいわゆる「ディーゼルゲート」事件である。ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べCO2排出量が少なく、環境に良いエンジンとされていたのだが、それが裏切られたわけだ。
そのため、2017年のフランクフルトモーターショーでは環境保護団体が派手な反対運動を行ったほどである。
2016年以降のショーではほとんどの欧州メーカーはBEV(電気自動車)化を進めることを高らかに宣言し、展示もBEV中心となっていった。しかしBEVはすぐに売れるものではなく、環境保護派の手前内燃機関搭載車を派手にアピールすることもできないため、規模は縮小化された。
莫大な開発費をかけたBEVが売れずに出展抑制
規模縮小の理由にはもうひとつあって、各メーカーがBEVに一気に舵を切ったため、短期間でBEVを開発するために莫大な予算が必要となり、マーケティング予算は縮小せざるを得なくなった。
BEVは発売したものの、価格はまだ高く、思うようには売れていない。バッテリー原料の高騰もあり、コストダウンどころかコストアップに見舞われているのが現状で、頼みの綱の政府補助金も縮小されている(ドイツでは昨年末廃止された)。各社ともガソリン車の利益でなんとか食いつないでいるのだ。
モーターショーでBEVを並べたところで売り上げにつながらないのであれば、予算をかけてモーターショーに出展する意味はない。そこで、各社がモーターショーにかける予算をさらに縮小。自国のショーには半ば義理で出展するが、そのほかのショーにはほとんど出ない、となっているのが現状なのである。
そうした理由から、2020年まではジュネーブモーターショーに出展していたブランドも今回はほとんどが辞退、という展開になったものと思われる。