ZOZOやLOHACOが検証中の「ゆっくり配送」
ただし、置き配・宅配ボックスは、「配達日を指定している」という点で、まだ配達員の負担になりうる。
その点も考え、考案され、またEC・通販各社で実証実験が開始されているのが、「ゆっくり配送」「ゆっくり宅配」「おトク指定便」などの名称で呼ばれる新サービスである(以下、本稿中ではゆっくり配送で統一)。
「ゆっくり配送」は、ZOZOやLOHACO(※アスクルの一般消費者向けECサービス)などで検証されている。
事業者によって多少サービス内容に差異はあるが、翌日配送などの日付指定をなくし、いわば配達現場の都合の良い日に配達を行う点で共通している。
また、事業者によっては「ゆっくり配送」を指定した消費者にポイント還元などを行うケースもある。
「物流2024年問題」を解決する一手に
配達量が多い日があるということは、配達量が少ない日もあるということだ。こういった繁閑の変化を波動と呼ぶ。
「ゆっくり配送」は、波動を平準化し、常に健全な仕事量で配達員が働くことができる環境を実現できると期待されている。
特に、最近Amazonの自前配達を担うことが多い、軽貨物自動車による個人事業主の配達員(以下、軽バン配達員)においては、波動が平均化される、つまり常に安定して軽バン配達員の仕事ができるメリットというのは大きい。
余談だが、軽バン配達員の中で、専業は約6割しかいない。さまざまな要因が考えられるが、仕事をしたくとも配達量が少なく、仕事ができない日があるから、中にはUber Eatsを掛け持ちしている軽バン配達員も存在する。
「ゆっくり配送」は、今後配達員の負担を軽減し、かつ「物流の2024年問題」を筆頭とする物流クライシスに対し、物流効率化を実現する施策として、今後普及していくことを期待したい。