「税金の塊」のうち25.1円は上乗せ分
さらに、この158.1円に10%の消費税がかかるため、私たち消費者が購入する価格は173.9円/リットルとなります。
このうち、税金は石油石炭税2.8円+ガソリン税53.8円+消費税15.8円=72.4円となり、実にガソリン価格の41%が税金となります。
いかにガソリン価格が税金の塊であるかお分かりいただけると思います。
図表3はガソリン税の変遷を時系列にまとめたものです。
1949年に28.7円で定められたガソリン税は、1974年に道路特定財源として暫定税率が上乗せされるようになりました。以降、モータリゼーションやオイルショックを背景に暫定税率は引き上げられ、1974年に34.5円、1976年に43.1円となり、1979年には25.1円が加算された53.8円になりました。
その後、2010年には民主党政権下で暫定税率は一旦廃止されましたが、翌11年3月に起きた東日本大震災を受けて、復興財源としての使途を理由に暫定税率は維持されることになります(以降、「当分の間税率」と名称変更)。
つまり、ガソリンのコストの大きな比重を占めるガソリン税のおよそ半分の28.7円/リットルが本来の税金で、残りの25.1円は「税率の特例」と呼ばれる上乗せ分なのです。
「トリガー条項」が発動されていない理由
では、「トリガー条項」とは何なのでしょう?
トリガー条項とはガソリンの平均小売価格が1リットル160円を3カ月連続で超えた場合に、自動的に本来のガソリン税に上乗せされている25.1円を停止し、28.7円に引き下げられる法律です。
つまり、この条項が発動すると、ガソリン価格が1リットルあたり25.1円安くなります。
しかし、このトリガー条項は現在発動していません。その理由は、東日本大震災により、復興財源を確保する必要が生じたため、「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」によってこの条項が凍結されたからです。