10軒の家を守るために600億円の予算が計上されていた
以前の明石市では、市内全域の下水道工事に600億円の予算が計算されていました。その目的は、100年に一度起きるか起きないかのゲリラ豪雨で、床下浸水が懸念される民家10軒の安全性を確保するため。
ちょっと待ってください。その10軒のお家の床下浸水を防ぐために、明石市全域の下水道工事をする必要がありますか?
しかも、100年に一度、起きるかどうかわからないゲリラ豪雨のために。あまりにも不合理な話だったので、床下浸水が懸念される民家周辺を重点的に工事することにし、予算も600億円から150億円まで減らしました。これが代替性です。
「止まったら市民が怒るから」エレベーターを直したがる職員
これも実際にあった話。
ある日、市の公共施設の担当職員から、
「エレベーターの修理に予算を割いてほしい」と相談がありました。
「壊れてるんか?」と聞くと、
「壊れてはいないが、部品の保証期間が10年だから、そろそろ機械を交換したい」
と言います。
「止まったら修理すればいいから、今はそのままで」と返すと、
「止まってからでは市民が怒ります」と言う。
ちなみに、その場所にはエレベーターが3基設置されているので、1基止まっても何の問題もないはずです。それでもなかなか職員が引かないので、「もし市民が怒ったら、私がおんぶして階段を上がるから大丈夫や!」と言って、予算を一切つけませんでした。
結局そのエレベーターは、今も問題もなく稼働しています。
市の職員の多くは、問題が起きることを過剰に嫌う“ことなかれ主義者”です。このケースでは、何よりも市民から「エレベーターに乗れない!」というクレームが来ることを恐れて、壊れてもいないエレベーターを修理しようとする。そうやって余分な税金が使われていくわけです。