今後も金融危機は繰り返され、その度に危機を乗り越える

金融危機などで多くの人がパニックになって売却しているときは、売りが売りを呼び、相場は過度に下がっていることが多いものです。

少し時間が経って冷静さを取り戻すころには、資産の価格は自然と戻ってきます。そして、長期的な目線で見ると、世界経済は金融危機を乗り越えて、再び成長を続けていきます。

過去30年間で、数え方にもよりますが、5~6回の金融危機が発生しました。今後20年、30年と資産運用を続けていく場合には、「もう二度と金融危機は起こらない」と考えるのではなく、やはり5~6回程度の金融危機には直面するもの、という心構えでいるのが合理的です。

リーマン・ショックでも「売らない人」が資産を増やした

過去の金融危機においては、下落相場が続いたあと、一定の期間を経て相場は元の水準を超えて回復しました。

たとえばリーマン・ショックのときは、2008年から翌2009年にかけて、米国株全体が大きく落ち込みました。しかし、それから3年ほどの時間をかけて2011年の初めには元の水準に戻り、その後は上昇に転じていきました。

【図表1】柴山和久『新しいNISA投資の思考法』より

振り返ってみれば、その間、資産を売らずに持ち続けていた人は、結果的に資産を大きく増やすことができました。

「相場が下がり始めたら、そのタイミングで安全な資産に移し、相場が回復してから投資を再開したほうがよい」と考える人もいるかもしれません。しかし、相場を読むのはプロでも困難であり、そのような行動はなかなか取れないものです。

「長期投資をする」と決めたのであれば、金融危機があっても積立を中断せず、淡々と続けることで、リターンの最大化を目指すことができます。