早々にマイナスを経験すると危ない…

「最初の一歩」を踏み出せばあとは全部うまくいく、ということであればよいのですが、残念ながら、現実はそうなりません。

資産運用を開始して、わずかでも増えると、「始めてよかった。自分の選択は正しかった」と安心します。あるいは、「あっ、増えてる!」と喜びを感じる方が多いのではないでしょうか。

ところが逆に、投資を始めて早々にリターンがマイナスになると、「やっぱり預金のままにしておいたほうがよかった」「始めるタイミングを間違ってしまったのではないか」と不安な気持ちになります。数日後にさらに資産が減ってしまうと、「資産運用を始めたのが、そもそも失敗だった」と考えがち。

実際には、長期投資を始めてすぐに挫折してしまう方は全体のごく一部に過ぎません。多くの人は、そのまま投資を続けていくことを選択します。

ところが、次に、マイナスが続いたあとでプラスになったタイミングで、「もうこれ以上、資産が減るのは見たくない」と考えて、運用をやめてしまう方が出始めます。

「最初の1年」が最も挫折しやすい

さらに、資産運用を始めたあと、半年から1年くらいは、資産が増えたり減ったりして、リターンがゼロ近辺でプラスとマイナスを行き来することが続きます。そのたびに、一喜一憂を繰り返し、心理的に疲れ果てて、長期投資を続けられなくなる人が増えてきます。

実際に、30万人を超えるウェルスナビの利用者の行動データを分析してみても、長期投資を始めた直後、とくに「最初の1年間」が最も挫折しやすいことがわかっています。

ウェルスナビの場合、サービスを使い始めてから途中で資産運用をやめる方は、平均して月1%未満という非常に低い水準です。ただ、利用開始から1年以内に限ると、資産運用をやめる方が、平均して月1%を超えています。

その後、運用を長く続けるほど、やめる方の比率はだんだんと下がってきて、利用者全体では月1%未満となっています。最初1年間にやめる方が多いのは、「第1の罠」と大きく関係していると考えるのが自然です。