新NISAがスタートした。株価上昇も後押ししてか、証券会社などでは新規の口座開設が活況を呈しているという。今度こそ日本に長期投資が根づくのか。ウェルスナビCEOの柴山和久さんは「売りたくなる衝動を乗り越えて10年続けられるか。これが、日本人の資産形成を左右する重要なポイントだ」という──。
※本稿は、柴山和久著『新しいNISA投資の思考法』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。
「10年以上続けられるか」
長期の資産運用は、10年以上続けられるかどうかが重要です。長期投資を続けることで、経済危機の影響を乗り越えていくことができるからです。
過去30年でシミュレーションをすると、どの10年を切り取っても、資産運用の結果はプラスになっています。このことからも、長期投資の目安は「10年かそれ以上」だといえます。
実は、私たちが長期投資を続けることを阻害する「3つの罠」が存在します。これら「罠」の存在を知り、対処していくことが、長期投資家になれるかどうか、また、長期投資の果実を手にできるかを左右する重要なポイントです。
第1の罠
資産運用を始めたばかりの時期は一喜一憂してしまう
最初の罠は、資産運用を始めたばかりのタイミングで訪れます。
長期投資を始めるときは誰でも、心の中で、いろいろな迷いや悩みが交錯するものです。
「いまは、始めるのによいタイミングだろうか。もう少し様子を見たほうがよいのではないか」
「自分は正しいサービス(商品)を選んでいるのだろうか」
「投資額はいくらから始めるべきだろう」
「まとめて投資するべきか、それとも何回かに分けて投資するべきか」
あれこれ悩んでいるうちに、「そもそも自分は投資を始めてよいのだろうか」と思い始めます。
長期投資をスタートさせるには、まずは、こうした数々の悩みと迷いを断ち切り、最初の一歩を踏み出す必要があります。