次の注目作は謎の地下通路からの脱出を目指す『8番出口』

こうしたインディーズタイトルは、シンプルゆえにネット配信と相性が良く、多くのゲーム中継配信者が、まだ取り上げられていない作品を積極的に探し出し、紹介するという現象を生みだした(その後、数十万~数百人のファンを抱える人気配信者が取り上げることで大ブレーク)。『スイカゲーム』はその珍しい大成功例と言えるが、その後も、謎の地下通路からの脱出を目指す『8番出口』が配信やSNSの口コミで注目を集めつつあるなど、日々、新たな傑作が“発掘”され続けている。

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2023年11月30日にSteamにて配信が開始されたウォーキングシミュレーションゲーム『8番出口』

もちろん、そのためにはゲームメーカー側が配信に寛容でなければならないのだが、『スイカゲーム』に関しては公式のガイドラインに従えば、ゲーム中継での動画使用は歓迎といったオープンなスタンスを早々に表明。次々と配信者が『スイカゲーム』を取り上げていくという流れを生み出すことにも成功した。

加えて、Aladdin Xの場合、本業はプロジェクターの販売であり、ゲームの販売は「採算度外視」だったからこそ、240円という価格設定ができ、それがブレイクを後押ししたという側面もある。配信を見て、自分もプレーしてみたいと思ったときに、スマホアプリ感覚で購入できる価格だったことも、わずか4カ月弱で累計500万ダウンロードを実現できた理由に違いないだろう。

世の中にはゲームをまず無料で提供し、ガチャや追加コンテンツで課金する手法もあるが、「買い切り」である本作はそれに該当しない。このあたりはAladdin Xの(あるいは程元社長の)狙い通りと言えそうだが、これを他のメーカーが真似するのはなかなか厳しそうだ。

「大ヒットで得た利益はファンに還元していきたい」

本業であるプロジェクター事業でも注目され、さらに別のところで思わぬ大ヒットを手にしたAladdin X。このヒットによって、本業にどのような影響がでているのだろうか? 本来の目的であった「Aladdin X」の売り上げアップには貢献しているのだろうか?

「プロジェクターは検討期間が比較的長めの製品なので、まだ売り上げがどうこうという段階ではないのですが、『スイカゲーム』をきっかけに『Aladdin X』に興味を持ったというお客さまは確実に増えていることが、ホームページへのアクセス数増加などから確認できています。今後、家電量販店や商業施設などでの展示時に『スイカゲーム』をきっかけに、プロジェクターをご体験いただくような施策を打ち出して、よりシナジーを生みだしていけると良いなと考えています」(岡本さん)

また、単価240円とはいえ500万本売れたということは、単純計算で12億円の売り上げ。そこからAladdin Xに入る収益も小さな話ではない。岡本氏は「それは事実としてある」と認めつつ、「一過性のブームに終わらせず、今後『スイカゲーム』ファンに対して還元していくことで、『スイカゲーム』をより長く愛されていくタイトルにしたい」と語る。