ガソリン車やディーゼル車、HVのニーズは根強い
トルコは現在、国産EVの生産に力を入れている。また外資系EV関連企業の誘致にも注力しており、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は9月の訪米時、米EV大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)とニューヨークで会談した際、トルコ国内でのテスラの工場の建設を要請するなど、トップセールスに努めている。
そもそもトルコには、ヨーロッパ向けの完成車工場を持つ外資系自動車メーカーが数多い。そのため、ヨーロッパがEVシフトを強める以上、トルコで生産されるEVも増えていく方向にある。一方で、トルコ国内でEVの普及が見込めるかというと、安価な中国製EVでも、インフラ不足や高インフレの問題から、普及は進みにくいと考えられる。
つまりトルコでは、EVの生産台数が増えても、EVの登録台数はそれほど増えないのではないだろうか。少なくとも、EVの登録台数が足元のような好調を持続できる時間は短いはずだ。トルコのみならず、一定の所得がありながらも高インフレが続くような中進国では、EVの普及はやはり進みにくいのではないかと考えられる。
いずれにせよ、EVの普及というものは、市場原理が決めることだろう。世界を見渡せば、ガソリン車やディーゼル車、HVのニーズには、まだまだ根強いものがあるのである。
(寄稿はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です)