毎月りんごを買ったときに使ったおこづかいはどうか。1万円×3カ月で3万円だ。

元は3万円だったはずのおこづかいが6万円に増えたのはどうしてだろう? 実はここが、日本の投資教育で語られていないけれど、いちばん大事なところだ。投資を始める前にぜひ覚えてほしい。

なぜ値下がりしても損をしないのか?

これは、ロボアドの商品に限った話ではない。投資信託でも、持株会でも、純金でも、毎月つみたてする商品ならすべて同じように説明できる。

投資初心者に限らず、上級者でも、「投資というのは、安く買って、高く売って儲けるものだ」と思っている。もちろん正しい。ただこれは、一括投資の場合だ。

iDeCoやNISAという制度を作って国がおすすめしているのは、「長期・分散・つみたて投資」であって、NISAなど「つみたてNISA」という制度をわざわざ作ったくらいだ。それが、今度はさらに「つみたて投資枠」と銘打ち、投資額と内容をバージョンアップさせているのが新NISAだ。

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こんなに違う「一括投資」と「つみたて投資」の結果

同じ商品に投資をしても、一括投資とつみたて投資では、結果が違う。

先ほどの例だと、3万円一括投資をした場合、半値になったところで売ったら1万5000円だが、つみたて投資だと6万円になった。

それは、一括投資は、りんごの価格と運命共同体なのに対し、つみたて投資の場合は、りんごの数を貯めて売る投資法なので、りんごの数が多ければ多いほど有利になるからだ。

皮肉なことに、自分が保有するりんごの数を増やすには、市場が大暴落したほうがいい。りんごが大豊作で、値段が大幅に下がったときのことを想像してみてほしい。同じおこづかいで、りんごの数をずっとたくさん買えるようになることが理解できるはずだ。

だから、もともと1万円の価格だったりんごが、1000円になったときに“爆買い”した図表4のケースでは、その後、値段が1万円までは戻らず、5000円で売却したにもかかわらず、5000円×12個で、自分の投資額に対して2倍の金額になったのだ。