子育てが終わってからも親の生活満足度を押し下げる理由

子育て期ならまだしも、なぜ子育てが終わったあとでも依然として子どもの存在が生活満足度を押し下げているのでしょうか。この原因が気になるところですが、これには二つの可能性が考えられます。

一つ目は、「お金」です。

日本では高校生の約半分が大学に進学します。また、短大や専門学校に進学する学生もおり、教育費の経済的な負担は長期にわたります。これらの負担が原因となり、保有する金融資産額が減少し、高齢期における生活満足度を押し下げている可能性があります。

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じつは、これには裏付けがあります。

図表2は、日本の高齢既婚男女の世帯所得に関する満足度を示しています。なお、世帯所得満足度も0~10の11段階で計測した指標で、値が大きいほど世帯所得に満足していることを示しています。

※『残酷すぎる幸せとお金の経済学』(プレジデント社)より

この図から明らかなとおり、子どものいる高齢既婚者の世帯所得満足度のほうが低くなっています。この結果は、高齢期でも子どもの存在がお金の面で不満の原因になっていることを示しています。

子あり世帯のほうが貯蓄が少なく、借金が多い

さらに、世帯貯蓄額と世帯借入額を見ると、子どもの有無によって差が生じていることがわかります。図表3と図表4は、高齢既婚者の世帯貯蓄額と世帯借入額の平均値を示しています。

※『残酷すぎる幸せとお金の経済学』(プレジデント社)より
※『残酷すぎる幸せとお金の経済学』(プレジデント社)より

図3、4は、子どものいる高齢既婚者のほうが世帯貯蓄額がやや小さく、世帯借入額がやや大きいことを示しています。子どものいる世帯のほうが保有する金融資産が少なくなっているわけです。

図2、3、4から、子どもを養育することの長期にわたる金銭的負担が高齢期に如実に表れていると言えるでしょう。これが生活満足度を低下させる原因の一つになります。