令和になっても「男の経済力」は欠かせない

日本は、収入格差が拡大しているといわれます。

失われた30年や昨今の円安の影響で、国際的にも日本の給料レベルは低いほうの部類に落ちてしまっていますが、国内だけで見ても東京と地方などで収入格差はあります。他にも、仕事の内容によっても、企業の規模の違いによっても、正規なのか非正規なのかという就業形態や労働時間によっても違います。

写真=iStock.com/kasto80
※写真はイメージです

収入格差というと、よく男女格差が取り沙汰されますが、実は、ほとんど報道されませんが、男女格差より大きいのは配偶関係による格差です。

出生動向基本調査からもわかるように、女性が重視する結婚相手の条件に「男の経済力」は欠かせません。婚活の現場でも「年収いくら以上が条件」というものがついてまわります。実際、年収別の生涯未婚率を紐解けば、男性の場合は、年収が低ければ低いほど未婚率が高くなるという強い正の相関があることも事実です。

フルタイムで働く妻の割合は40年近く変わっていない

よって「金がない男は結婚できない」と言われるわけですが、では、実際に未婚と既婚とでどれくらいの所得格差があるものでしょうか。2022年の就業構造基本調査より、各年代別の年収中央値を算出して比較したものが以下のグラフ(図表1)となります。

なお、有業者だけで比較すると実態と合わない部分もありますので、各年代の無業者(学生、専業主婦・主夫、無職)も収入ゼロ円と換算して含めて計算しています。

これによれば、どの年代においても圧倒的に年収中央値が高いのは既婚男性であり、未婚男女は多少男性のほうが高いですが、大きな差異はありません。一方、既婚女性は25~29歳を頂点としてそれ以降の年代は低空飛行になっています。

これは、当然ながら、既婚女性は結婚や出産を機に退職して専業主婦になるパターンもあるためです。共働き世帯が専業主婦世帯を大幅に上回っているなどという説が流布されていますが、過去記事〈カネのない結婚は不幸になるだけ…「年収400万円」を最低条件にする婚活女性を笑えない理由〉でもすでにご紹介した通り、フルタイム就業の妻の割合は1985年から約40年間ずっと3割でかわっていません。