少子化の原因として未婚化、ひいては若者の恋愛離れが問題視されがちだ。本当にそうなのか。東京財団政策研究所主任研究員の坂元晴香さんは「交際相手がなく異性との交際に興味がないと答えた男性の内訳を見ると、年収300万未満で75%を占めており、年収800万円以上は0.1%しかいない。実際、年収300万円の男性が生涯子どもを持たない割合は62.8%。少子化の原因が若者の価値観の変化ではないことは明らかだ」という――。
一人で腰を下ろし、見晴らしの良い場所で日の出を見ている男性
写真=iStock.com/Chalabala
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少子化の原因は「若者の価値観の変化」ではない

2022年に我が国で生まれた日本人の子どもの数(出生数)は77万747人で、統計を開始した1899年以降最も少ない数となり、初めて80万人台を下回った。政府も「異次元の少子化対策」を打ち出すなど、止まらない少子化をいかにくいとめるかが喫緊の課題となっているが、残念ながら現在のところ出生数が回復基調に戻る兆しはない。

そもそも、少子化対策を実行するためには、我が国において(もっとも少子化は先進国共通の課題であり、日本だけが特に状況が悪いわけではないが)なぜ少子化が進んでいるのか、その要因を正確に把握することが必要であろう。

しかしながら、政治家の発言、巷での言説などを見ていると、「若い世代の価値観が変化した」「現在ではインターネットはSNSなど娯楽が多様化したため、恋愛や結婚の価値が下がった」「女性が高学歴化したからだ」など、あたかも「結婚・出産を選択しない若い世代の問題」と捉える風潮が強い。それは本当であろうか。筆者らは、国立社会保障・人口問題研究所が実施する出生動向基本調査のデータを主に用いて、現代日本における、恋愛・交際・婚姻・出産に関する動向の分析を行ってきたが、そこから見えるのは、「若い世代の価値観の変化」とは全く違う、日本社会が抱える構造的課題であった。

出生数減少の最大の理由は「未婚者」の増加

そもそも我が国における少子化の最大の要因は未婚者数の増加である。実際のところ、結婚した夫婦から生まれる子どもの数(完結出生児数)は1970年代から2002年頃までは2.2前後で推移してきた。この数年の間に緩やかに減少傾向になっているものの、2015年では1.94と引き続き高い水準を維持している。

他方で、同時期に未婚者数は大幅に増えた。生涯未婚率(50歳時点での未婚割合)は1980年には男性で2.6%、女性で4.45%だったのに対し、2015年には男性で23.37%、女性で14.06%まで増加しているのである。日本では大半の子どもが結婚した夫婦から産まれることを考えると、少子化の最大の要因は「未婚化」であるといえよう。

© The Tokyo Foundation for Policy Research All rights reserved. 出典=「データから読み解く 日本の少子化の要因」
出典=「データから読み解く 日本の少子化の要因」