おいしそうな「きつね色」にはAGEがたっぷり

AGEの怖さを実感していただけただろうか。

さてAGEの生成には2パターンがあり、これまで記した体内で発生、蓄積するケースと、食品などとともに体外から取り込まれるケースがある。AGEは「タンパク質と糖」が結びつき、劣化(糖化)する現象によって作られるわけだが、食事では調理過程で高温加熱すると発生しやすく、“きつね色”が糖化の証。

「例えばホットケーキ。小麦粉(糖)と卵(タンパク質)を混ぜ合わせたものがフライパンで加熱され、糖化反応が起きた結果、こんがりきつね色になります。そういったAGEを含んだものを多量に食べることでもAGEが蓄積されます」(山岸氏)

悲しいことに、カステラやプリン、ワッフル、どら焼き、今川焼きなど、きつね色に焼かれたものにはAGEが多く含まれている。しかし裏を返せば、調理法によってAGEの量は大きく変わるのだ。

ここで三つクイズを出そう。次のうち、どちらがAGEが少ないといえるだろうか。クイズは山岸氏への取材に基づいて作成したものだ。

1・レアチーズケーキorベイクドチーズケーキ
2・焼き餃子or水餃子
3・みたらし団子or草団子

AGEが少ないものは、1からレアチーズケーキ、水餃子、草団子になる。

高温加熱の調理過程によってAGEが発生しやすいわけだから、簡単にいえば「加熱していないもの」「茶色くないもの」を選ぶといい。

肉を焼くときは酢やスパイスで下ごしらえを

牧田医師も「AGEは加熱される温度が高く、時間が長くなるほど増えていく」と指摘する。

「どんな食材でも油で焼いたり炒めるより、加熱温度の低い『ゆでる、蒸す、煮る』という調理法が老化を防ぎます。例えば鮭は揚げると生の2.5倍以上、鶏の胸肉は焼くと生の約7.5倍、揚げると約10倍、AGEが増えるとされます」

牛肉や豚肉なら焼肉でなくしゃぶしゃぶ、鶏ならフライドチキンでなく蒸し鶏がいい。なんでも加工度が低いほうがベターで、白米より玄米、揚げ魚より刺身、野菜なら生サラダという具合に考えよう。

笹井恵里子『老けない最強食』(文春新書)

また揚げ物を食べたい時はAGE発生を抑制する効果がある「酢」や「レモン」を使うのがお勧め。

「生肉を焼くとAGEは約5倍になるが、焼く前に酢につける(マリネする)とAGEの発生量が2倍以下になったという研究結果があります」(牧田医師)

スパイス(香辛料)も効果がある。胡椒やクミンがAGE発生を抑制するという海外の研究があるのだ。

食品中に含まれるAGEの7%が体内に取り込まれるといわれている。AGEが発生しにくい調理法を選ぶこと、発生を抑制する酢やレモン、スパイスを使うことを心がけたい。(第2回に続く)

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