プライドが傷つかないよう川勝知事に忖度したのでは
「利害関係者はいない」と訂正してしまえば、川勝知事の発言はほぼすべてデタラメだったことを認めてしまうことになる。
それでは、川勝知事のプライドをいたく傷つけることを忖度したのだろうか。
というよりも、知事発言を勝手に切ってしまえば、川勝知事の逆鱗に触れると考え、最小限の訂正で済ませてしまったのだ。こちらが正解だろう。
県庁内では、すべて川勝知事の発言に逆らえない。特に、リニア問題では、川勝知事の決めたことがすべて正しいことになってしまうのだ。
県行政への信頼が失われ続けている
10月20日に開催された県生物多様性専門部会も全く、そのシナリオに沿った茶番劇だった。
今回のテーマは、生態系への影響を議論する国の有識者会議が報告書をまとめるに当たって、県がどのような言い掛かりをつけるかである。
過去に「沢の水生生物への影響予測が行われていない」などと国へ提出した意見書だけでは飽き足らず、県専門部会の同意を得た上で、新たな言い掛かりとなる意見書を国へ送りたいのだ。
会議の途中で、森貴志副知事が「国の結論では不十分だという意見でよろしいか」と強引にまとめようとした。
幸いなことに、出席した7委員の中に「国の有識者会議の報告書を建設的にとらえるべきだ」とする意見もあり、当日の結論は先送りされた。
川勝知事は南アルプスすべての生態系への影響予測評価を行うことを求めている。事業者のJR東海に求めるのには全く不可能な話なのだ。
知事は南アルプスの自然環境を保全、生態系を保全するなどの空論を述べ続けている。逆らえない事務方は、知事のシナリオに沿った意見書を何としても国に送らなければならないのだ。
今回の自然環境問題の利害関係者を不特定多数の人としてしまうのも、その延長線上にある。
ただ、このような知事会見の訂正内容が、県の公式見解となれば、県行政への信頼性が完全に失われることを川勝知事は理解しなければならない。