先進国の中で特に超過死亡が多かった日本

先進国の中で特に超過死亡が多かったのが、新型コロナではそれほど多くの死亡者を出さなかった日本だった。日本での新型コロナ死亡者数は2年間で1万8400人だったのに、なんと、6.0倍の11万1000人もの超過死亡が生じていたと報告されたのだ。韓国での新型コロナ死亡者数は5620人で超過死亡はその0.8倍の4630人、シンガポールは死亡者数が828人で超過死亡がマイナス1770人と推定されているので、日本の超過死亡が異常に多いことがお分かりいただけるだろう。

超過死亡と実際の死亡者数との比率が6倍もある先進国は他に例がなく、日本の数値は、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国の中で際立って高かった。日本の人口10万人当たりの超過死亡は44.1人で、4.4人だった韓国の10倍だ。

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この研究結果は、日本など超過死亡が高かった国々に新型コロナ対策の見直しを迫る内容であり、世界に衝撃を与えた。英科学誌の『ネイチャー』誌は、『ランセット』誌にこの論文が掲載された当日に、「新型コロナの真の死者数――公式記録よりはるかに高い」と題した記事で他誌に載ったこの研究結果を紹介したくらいだ。この記事の中でも日本の超過死亡の多さが取り上げられた。

超高齢社会とはいえ急激に死亡者数が増加している

ちなみに、WHOのデータでは、20年1月~21年末までのコロナ関連死が1490万人とし、コロナが直接の死因となったのは542万人、それ以外は間接的な死としていて、日本の超過死亡は「マイナス1万9471」とある。このWHOのデータがあるため、専門家の間でも意見が割れているようだが、WHOのデータは厚生労働省の出した数字をそのまま掲載しているだけだということは付記しておく。

実際、日本では新型コロナに限らず、死亡者数が増加している。厚生労働省の人口動態統計によれば、2021年の死亡数は前年比4.9%増の143万9856人、2022年はさらに増えて156万8961人で、戦後最多を記録した。死因の1位はがん、2位は心疾患で順位に変動はないが、肺炎での死者数が減ったのに対し、3位の老衰は他の死因に比べて増加率が高かった。超高齢社会で多死社会に入ったとはいっても、これほど急激な死亡者数の増加は想定外だ。特に、アルファ株が流行した2021年春以降、死亡者は急増し、重症化率の低いオミクロン株になっても死亡者が異常なほどの勢いて増えている。