最前線に立つ母親を父親が支える

そんなふうに子どもに問題が生じたときは、両親が連携して事に当たることが大切ですが、このケースのように子どもが心を許しているのは母親という場合が多いです。

子どもというのは、父親の前に出ると緊張するケースが多いと感じます。息子なら、どこかでライバル心を感じているから、いいところを見せようとしますし、娘は大好きなお父さんの期待に応えて頑張りたいと思ってしまう。どちらも父親に素の姿を見せていません。

一方、母親に対しては、素の姿を見せやすい子が多いようです。「学校に行きたくない」と外の世界に出ることへのピンチの気持ちも受け止めてもらえる、と感じているのでしょう。こういった場合、父親が無理に割り込むと、かえって子どもとの関係は悪くなってしまう。父親の権威で引っ張ろうとすると、そのうち子どもは徹底的に父親を避けるようになります。むしろ親子関係が壊れるので、やめたほうがよいでしょう。

そうした家庭での父親の役割は、母親をサポートする、母親の苦労をわかろうとすること。臨床の場でも、父親がそういう形で加わると、お子さんが変わっていくケースが多いです。

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月に2、3回はおばあちゃんに預ける

おすすめは父親が月に2、3回、母親を家から連れ出すことです。子どもはおじいちゃん、おばあちゃんに預けて「パパとママはちょっと用があるから留守番してね」と、あっさり二人で出かける。それを実行した夫婦からは、母親は子どものことが客観的に見られるようになった、父親は母親のしんどさに気づいて親身になれたなど、ポジティブな声をよく聞きます。

子どもが母親から離れたくない状況の中で、祖父母に預けることに罪悪感を持つお母さんもいますが、子どもを預けること自体、全く悪いことではありません。子どもは、学校にもいやいやながらも行っているわけですから、親と離れられるわけです。もちろん、それが毎週となると嫌がるかもしれませんが、月に2、3回程度なら何の問題もないでしょう。