恋愛力より冷蔵庫の余りものでご飯を作る能力

もっとも、同じ統計を見れば、年齢が上がるにつれて妊娠しにくくなる原因は、男性にもあることが分かります(本書の第5章で詳しく述べています)。ですが、正確なエビデンスを知る男性は、女性よりはるかに少ないでしょう。だからこそ、早婚願望は女性を中心に目立っており、「ぐずぐず恋愛なんかしていられない」「恋愛と結婚は別」と割り切る女性の声が少しずつ聞こえるようになってきているのです。

たとえば20代女性が洩らす、次のような声です。

「結婚で大事なのは、生活を続けられる『サステナビリティ(持続可能性)』でしょう。恋愛みたいな一過性の楽しみは、学生時代に済ませたから、必要ないんです」(24歳女性)
「オシャレなレストランに詳しい男性は、結婚後に浮気するし、冷蔵庫の余りもので子どものご飯を作る能力もない。“恋愛力”なんて(結婚に)邪魔なだけ」(26歳女性)

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さらに最近は、10代の女子高生までもが「結婚は生活だから、見た目がカワイイとかじゃなく、私の内面をキチンと評価してくれないと」などと言います。

都内の進学高校に通うユミさん(16)もその一人です。「私は一生働き続けたいタイプ」だといい、「結婚したら私も、稼いだお金を半分、家計に入れる」とのこと。その代わり、未来のパートナーには家事や育児をシェアして欲しい、結婚後は家族でレジャーも楽しみたいから、「土日が休日でない男性は、恋愛止まりだと決めている」といいます。

さすがに“出産年齢”を意識しない男性は、そこまで割り切れていない印象です。

それでも、博報堂生活総合研究所の調査で「恋愛と結婚は別なものだと思う」と考える人の割合を見ると、「YES」と考える男性が最も多いのは20代(52.2%)で、最も少ない50代(41.1%)を1割以上、上回りました。20代女性ではさらに多く(59.5%)、最も少ない40代(43.6%)を約16%上回っています(図表3)(’22年 同「生活定点」)。

出所=『恋愛結婚の終焉

男性は女性に経済力を、女性は男性に家事力を求める

ちなみに「生活定点」の調査対象(約3000人)は、未婚者に限らないため、40代やその上の年代では、若い20代より既婚割合が高いはずです。

結婚後、恋愛感情がすっかり冷めた夫婦が、「理想と現実は違う」と痛感し、「恋愛と結婚は別」と答える気持ちは重々理解できます(苦笑)。これに対し、未婚が多いと思われる20代の男女が、「(結婚前から)恋愛と結婚は別」と割り切るのは、まったく別の意味があるように思えます。

おそらく彼らの一部は、若いうちから「結婚は生活だ」「恋愛とは別だ」と気づいているのです。「結婚相手に求める条件」でも、いまや女性に「経済力」を望む(「重視+考慮する」)男性が5割弱(48.2%)、これは、’15年より6.3%、’10年より9.5%も増えています(「16回出生動向基本調査」)(図表4)。また、男性に「家事・育児の能力や姿勢」を望む女性(同)は、およそ97%(96.5%)にも及ぶのです。

出所=『恋愛結婚の終焉