「深層崩壊が起きた先のリスクとは」の質問に川勝知事は…

JR東海は県専門部会で、ツバクロ残土置き場について、後背地の深層崩壊が起きる懸念などの調査を行い、安全性、安定性の確認した上で、耐震性に優れた残土置き場の構造などを説明している。

また、残土置き場下流側の燕沢は、段丘状に治山ダムが建設され、2019年10月の台風19号の通過の際にも、土砂堆積の流出が残土置き場計画地には何らの影響も与えなかったのだ。

筆者撮影
女性記者たちの厳しい追及があった川勝知事の会見(=静岡県庁)

だから、NHK記者は「深層崩壊が起こる可能性があると、その先にはどのようなリスクがあるのか」とさらにただした。

川勝知事は「川がせき止められて、水の供給にも、水質にも生態系にも甚大な影響が出る」などと述べた。つまり、川勝知事は記者の意図する「リスク」の意味を全く理解できていなかったのだ。

この回答に、共同通信社の女性記者が「ツバクロ残土置き場に深層崩壊の危険性を認識したと強調しているが、リニアの残土置き場の有無にかかわらず、深層崩壊は発生する可能性がある。(水の供給や水質、生態系などに甚大な影響が出るという)深層崩壊に対して県の講じている対策は何か?」と追及した。

川勝知事は「砂防をやるとか限界があります。千枚岳の崩壊にどういうことができるのか、専門家に聞いていないが、相当に厳しい土木事業になる」と全く無責任な回答をした。

記者の追及をデタラメ回答でかわす川勝知事

共同記者は「JR東海の残土置き場を建設することで、深層崩壊の危険性がより高まることを強調するならば、残土置き場うんぬんの話ではなく、その対策を立てる必要があるのではないか」と突っ込んだ。

川勝知事は「JR東海は、当事者だから、彼らが対策を講じる必要がある。場合によっては、それが非常に難しいことであれば、別の場所を考えることも1つの方法です。事業者が考えるべき基本的な対策なわけです」などと事業者であるJR東海に深層崩壊対策の責任をなすり付けた。

そのため、共同記者は「(JR東海ではなく)県が(深層崩壊の)対策を講じるべきである。深層崩壊は残土置き場があるなしにかかわらず起こることだ」とさらに追及した。

質問の意味を理解できないのか、川勝知事は「事業者であるべきです。トンネル工事については事業者責任ってことですよ。(深層崩壊の)対策を含めて」などと、行政の責任を放棄する頓珍漢とんちんかんな発言で逃げた。

行政分野の知識が著しく欠如する川勝知事は、リニア妨害のシナリオに沿って、デタラメな回答を行うしかないのだろう。ただ、この回答で静岡県行政への信頼性は完全に失われたのだ。