何を目指している政党なのかわからない
このように、立憲で2人続いた離党には「維新への接近」と「選挙を巡る調整不足」が根底にあった。
これは、立憲内で維新を脅威に感じていたり、距離が近かったりする議員や候補者は、きっかけがあれば離党してしまう可能性が高いということでもある。
ほかにも立憲で衆院議員を務めていた愛知15区の関健一郎氏が、次期衆院選には日本維新の会から出馬することを決定している。
どうしてこのような状況になってしまったのか。
立憲幹部は語る。
「立憲は維新でいうところの『身を切る改革』のような明確なスローガンを持てていない。参院選では『生活安全保障』というスローガンを掲げて戦ったが、既にこの言葉は使われなくなってしまった。
この夏に新しく作ったポスターも『今の健康保険証を守ります』や『増税隠しを許さない』など、政府がやっていることへのリアクションが中心になってしまっている。こうしたことから、何を目指している政党なのか分からないという評判がついてしまい、スローガンが明確な維新に有権者も議員もなびいてしまっているのではないか」
既に各社世論調査では立憲の政党支持率を維新が超えることが常態化して久しい。
こうした状況から脱却するためには、立憲は自身が何をする政党なのかを明確に定め、分かりやすく国民に対して発信し続ける必要がある。
そうしなければ、選挙が始まる前から有権者や候補者、議員に見放され、遠心力はますます強くなってしまうだろう。
立憲民主党とは何なのか。それを改めて問い直すことが、今の立憲に課されている夏休みの宿題かもしれない。