立憲民主党から国会議員の離党が相次いでいる。フリージャーナリストの宮原健太さんは「離党した議員2人には共通点がある。維新への接近と、選挙を巡る党の采配への不満だ。このままでは、党を離れる議員が他にも出てくるだろう」という――。

立憲民主党内の「立憲離れ」

来るべき衆院選に向けて結束を強めなければならない中、立憲民主党では現職議員の離党が相次いだ。松原仁衆院議員と徳永久志衆院議員である。

この2人が離党した経緯や理由はそれぞれ違うが、取材を進めていると共通点や根本的な原因も見えてきた。

今の立憲民主党に遠心力が働いている最大の理由は何なのか、現職議員の離党騒動から考えていきたい。

まず、2人の離党における共通点とは何か。

結論を先に言うと、「日本維新の会への接近」と「選挙を巡る調整不足」である。

松原氏のケースから見ていこう。

松原氏「やむにやまれず決断した」と会見したが…

松原氏は6月9日、「東京26区で立憲の公認候補として活動したいと都連に求めたが、意見が認められなかった」として、立憲から離党すると記者会見を開いた。

離党会見に臨む松原仁氏
筆者撮影
離党会見に臨む松原仁氏

もともと松原氏は東京3区で活動していたが、1票の格差是正のために行われた衆議院小選挙区の区割り変更「10増10減」によって、東京は選挙区の数が25から30へと大きく変更。3区は品川区を中心とする新東京3区と、大田区を含む新東京26区に分断された。

「活動の拠点とし、住居を構えている大田区がある」として、松原氏は新東京26区での立候補を希望したが、立憲の東京都連は「旧東京3区と9割の地域がかぶっている新東京3区から出馬してほしい」と主張し、議論は平行線をたどっていた。

そうした中、国会終盤では「岸田首相が衆議院を解散するのでは」という観測が飛び交った。結局、解散しなかったわけだが、衆院選が近く行われるかもしれないというプレッシャーが全衆院議員にのしかかる中、松原氏は離党を「やむにやまれず決断した」というわけだ。