離党して維新と組んだ方が勝算がある
同じような話が徳永氏の離党についてもある。
徳永氏は6月27日に離党届を提出し、その理由について翌日、大津市で開いた会見で「立憲は内閣不信任決議案を提出する段階で、衆院選の候補者の数が過半数に及んでいなかった。単独で政権を担う覚悟が用意できておらず、大きな違和感を覚えた」と説明した。
しかし、徳永氏に近しい議員によると、徳永氏は「維新に候補者を立てられないようにしないといけない」と離党前から周囲に繰り返し語っており、こちらも立憲内では「維新に渡りをつけていたのではないか」という見方が広がっている。
立憲関係者は「徳永氏の選挙区がある滋賀県では、維新が統一地方選などを経て勢力をどんどん拡大させている中、票を奪う脅威となっている。維新と関係が悪化した立憲内にいるよりも、離党して維新と組んだ方が勝算があると考えたのだろう」と漏らす。
「フォロワー50万人」の泉房穂氏擁立で比例復活枠の危機
また、徳永氏離党の背景には、立憲で一時、泉房穂・前兵庫県明石市長を近畿ブロックの比例代表第1位に処遇し、擁立しようという動きもあった。
泉房穂氏は岸田政権に対する舌鋒鋭い批判でも定評があり、ツイッターでは約50万人ものフォロワーを抱えている。立憲は泉房穂氏の人気にあやかり、比例代表候補として各地で演説して支持を訴えてもらうことで、票を伸ばそうと考えたわけだ。
しかし、近畿ブロックの比例代表第1位に処遇するということは、同ブロックの議員の比例復活枠が1つ減るということでもある。
2021年衆院選のデータだと、近畿の比例代表で1議席を獲得するために必要な票数は約30万票。いくら泉房穂氏でも、30万票を上積みすることは難しいだろう。
しかも、徳永氏は前回の衆院選で、近畿ブロックで惜敗率が上から3番目となり、立憲の比例獲得議席が3議席だった中、ギリギリ比例復活をすることができた議員だ。
この枠は泉房穂氏の擁立で消滅してしまう可能性が高く、擁立案は徳永氏にとっては離党の決断をする一因になったのではないかと見られている。
実際、6月19日に都内で開かれた立憲内グループの会合で、徳永氏は泉房穂氏の擁立案を耳にしており、この会合に出席していた別の議員は「それから間もなくして徳永氏が離党することとなった。引き金になったのは間違いない」と語っている。