プーチンが大統領に指名された黒い理由

エリツィンがなぜプーチンを後継者に選んだかについては議論があります。

1999年大晦日に辞意を表明したエリツィンは、全体主義を脱して明るい未来への期待を抱いた国民に応えられなかったことを自省し、民主主義の原則を守って辞任する旨述べました。

後継にプーチン首相を指名した理由は明らかにしませんでしたが、それはプーチンが民主主義者だからではなく、生涯エリツィンを刑事訴追から免責することを約束したからに過ぎないと思います。

その意味で晩年のエリツィンは、判断力が衰えていたか、もしくは本当の民主主義を理解していなかったのかもしれません。

たとえ失脚しても民族主義的傾向は変わらない

プーチンが大統領に就任した頃、NATOの東方拡大は既定路線となっており、ロシア側にこれを阻止する力はなかったでしょう。

しかし、あの時点からプーチンがNATOの東方拡大をロシアに対する潜在的脅威と考えていたことは間違いなく、この屈辱的な記憶が2014年からのロシアによるクリミア侵略に繫がっていったのだと思います。

プーチン体制はいつまで続くのか、これは、ウクライナ戦争の行方次第でしょう。

プーチン自身、負けるとは言えないし、負けるとも思っていません。それはゼレンスキーも同様でしょう。そうであれば、近い将来に停戦交渉が始まり妥結するとは思えません。

問題は、戦争終結前にプーチンが失脚する可能性ですが、恐らく可能性は低いでしょう。仮に失脚した場合でも、楽観視はできません。ポスト・プーチンがより国粋的、民族主義的なリーダーにならない保証など一切ないのですからね。