「俺、一晩中ベッドの上飛び跳ねとったもん」
それでも日々見つかりにくくなって、ひどいときは2時間くらい、見つからないのに湯船の中で注射が成功するまで付き合わされます。
失敗したら責任も重大で、次第にのぼせてしまって、母とお風呂に入ることが本当に辛くて仕方なかったそうです。
またある時は、小学1年生か2年生のころ、お母さんと一緒にどこかのホテルに行って、何とそこでショウ君も覚醒剤を打たれたというのです。
そのせいで、学校の薬物乱用防止教室などで聞くように、ずっと同じ行動をとっていたのだそうです。
「あれ本当よ。俺、一晩中ベッドの上飛び跳ねとったもん」と言うのです。
学校の尿検査が怖くて仕方なかった
そしてこの子が一番知りたかったことは、「何で親は俺に覚醒剤を打ったのか」ということです。
なんでだと思う? と、聞かれました。本当に私は言葉が見つかりませんでした。
普通子どもが大事なら覚醒剤なんて打たないよねと、自分でポツリと言葉をこぼしたので、私も、「お母さんも追い詰められていたんだよ」とだけ答えるのが精いっぱいでした。
それからというもの、彼は毎年、新学期に学校で行われる尿検査が怖くて怖くて仕方なかったのだそうです。
いつまで尿から覚醒剤が出る可能性があるのかなど、誰にも聞けず、高校2年生になるまで、戦々恐々の想いで尿を出していたのだそうです。
今までずっと、そんな心配を一人で抱えて過ごしてきていたのかと思うと、本当に不憫でなりませんでした。