3000億円の新規事業を生み出すビジネスプロデューサー
私が社長を務めているドリームインキュベータ(DI)では、2008年頃から「ビジネスプロデュース」を行なっています。
ビジネスプロデュースとは、簡単に言うと、大企業の次の柱となり得るような数百億、数千億円規模の新規事業を創造することです。目安として3000億円という数字を掲げています。島崎崇(現・DI統括執行役員)との共著で『3000億円の事業を生み出す「ビジネスプロデュース」戦略』『3000億円の事業を生み出す「ビジネスプロデュース」成功への道』(ともにPHP研究所)という本も出しました。
ビジネスプロデューサーという言葉は、近年、よく目にするようになりました。営業職のことをビジネスプロデューサーと呼ぶ大手広告代理店や大手電機メーカーもあります。しかし、ここで言うビジネスプロデューサーは、それらとは違います。
ここで言うビジネスプロデューサーは、大きな事業を生み出す人材と定義しています。そして、ビジネスプロデューサーを育成するために重要なのが、苦手な能力を鍛えることです。DIでは、そのようにしてビジネスプロデューサーを育成しています。
ビジネスパーソンの能力は2タイプ
具体的には、「深掘り力」と「共感力」のうち、苦手なほうを鍛えることで、ビジネスパーソンとして大きく成長します。
簡単に言うと、大量の情報を分析し、数値化・定量化し、思考を深める能力が深掘り力です。一方、人の気持ちを理解し、多くの人たちに会いに行って人脈を形成し、要領よく大事なポイントを把握する能力が共感力です。
そして、深掘り力に長けている人を「深掘りタイプ」、共感力に長けている人を「共感タイプ」と呼んでいます。
大きく言うと、ビジネスパーソンは深掘りタイプと共感タイプのいずれかに分けられます。
理想は、深掘り力と共感力の両方を高次元で併せ持っていることですが、大抵の人はどちらかが得意で、もう一方を苦手としています。
そのため、深掘りタイプは共感力を、共感タイプは深掘り力を意識的に鍛えていくことで(実際には「自分の中に眠っている能力を呼び起こす」と言うほうが正しいですが)、高いパフォーマンスを発揮できるようになります。