「死んでもいいからご飯や甘いものが食べたい」

しかし糖質制限を始めて3年経った頃、「どうしてもアイスクリームが食べたい」と言い出しました。そしてさらに2年後、本人から「もう糖質制限はやめたい。死んでもいいからご飯や甘いものが食べたい」と治療の打ち切りの申し出がありました。

こうなると、残念ですがやむを得ません。

治療をやめる直前は、甘いものを食べる、食べないで毎日夫婦で大喧嘩していたそうです。何年も続いていた糖質制限の間も糖質を取りたいという欲求を消すことができず、健康のための食事制限をやめたくなるほど糖質の依存は根強いのだと思い知らされました。

とはいえ、いくら糖質がカラダに良くないからといっても、糖質をまったく取らないのも好ましくありません。栄養バランスは「タンパク質3:脂質6:糖質1」程度が好ましいでしょう。じつは赤血球がエネルギー源にできるものがブドウ糖だけなのです。そのためにヒトは1日あたり、180グラムの糖質が必要です。そのうち、肝臓で作られて、そのまま体内で使われる糖質もあります。

1日に必要な糖質量は「茶碗半分のご飯」くらい

肝臓が1日に作る糖質量は150グラム。ヒトのカラダに必要な糖質量から肝臓が作っている糖質量を引くと、その差は30グラムです。つまり、この30グラムだけ、食事から糖質を補う必要があるというわけです。

糖質量の30グラムとは、ご飯に換算してお茶碗半分くらい。この程度なら食事から糖質を取っていいですが、それ以上はヒトのカラダにとって余分な糖質です。カラダの中で余った糖質は、中性脂肪になって蓄積されます。ヒトは本来、1日30グラムだけ糖質を取れば十分。それ以上はカラダにとって害悪だと考えるべきなのです。

私は「頭が良くなる食事」として、半熟卵を毎日3個食べることをおすすめしています。鶏卵は、プロテインスコアやアミノ酸スコアにおいて100点の良質なタンパク源です。

写真=iStock.com/Dejan Kolar
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体内で作ることができないすべてのアミノ酸を摂取することができるので、鶏卵はタンパク源として最適なのです。さらに、鶏卵には必須脂肪酸のα-リノレン酸という脂質が豊富に含まれています。脂質だけでなくタンパク質も豊富に取れる卵ですが、とくに半熟卵の状態で、1日3個食べるのがいいでしょう。