食生活は脳にどんな影響をもたらすのか。認知症予防医の広川慶裕さんは「私は『頭が良くなる食事』として半熟卵を毎日3個食べることをおすすめしている。逆に、糖質の取りすぎは脳の機能を低下させるため、1日に必要な糖質量である30グラム、つまり茶碗半分のご飯くらいに抑えてほしい」という――。

※本稿は、広川慶裕『脳のスペックを最大化する食事』(ハーパーコリンズ・ジャパン)の一部を再編集したものです。

新鮮な野菜を使った健康的な食事のコンセプト
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炭水化物を食べ過ぎるとどうなるか

食生活の方針として、糖質(炭水化物)を取る量を抑える糖質制限を行い、糖質を多く含むパンやご飯の量を減らしましょう。糖質過多な食生活は、脳とカラダの老化を促進してしまうからです。

必要以上の糖質を摂取すると、血液中の糖質はエネルギーとして消費しきれなくなり、中性脂肪や「AGEs」に変化します。AGEsとは終末糖化産物とも言われ、タンパク質と糖質が結びついて「糖化」したもの。糖化やAGEsの蓄積は、カラダの「コゲ」にもたとえられ、老化の原因になります。

「糖化」は、「酸化」と「炎症」と合わせて、ヒトの老化の三大要因と呼ばれます。血管の中でAGEsができると、動脈硬化を引き起こし、血流を悪化させます。その結果、脳やカラダの機能を低下させます。

麺類やパンは「グルコーススパイク」を起こす

よく「ヒトは血管とともに老いる」と言われますが、血管がボロボロになることは老化の大きな原因です。食べすぎで余った糖質から作られる中性脂肪は、もちろん肥満の原因に。中性脂肪が数々の生活習慣病を引き起こすのは言うまでもありません。

糖質のなかでも、とくに小麦は脳やカラダに対して悪影響の多い食材です。麺類やパンなど、精製された小麦から作られた食品は、米よりも急激に血糖値を高くします。すると高くなりすぎた血糖値を下げるために血液中にインスリンが分泌されて、今度は急に血糖値を下げようとします。こうした食後の短時間に血糖値が乱高下することを「グルコーススパイク」と呼びます。血管を傷つけたり動脈硬化の原因となったりする危険な現象です。