「中国は「勝てる」と思ったら仕掛けてくる

その意味で言いますと、中国が、台湾や日本、そしてアメリカにサイバー攻撃をかけるとすれば、決定的な瞬間に集中的に行う可能性が高いです。

「ワーッ」とサイバー攻撃を仕掛け、「今、何が起きているんだ?」と動揺している間にミサイルが飛んで来るような形になるでしょうね。

先ほど述べたように、戦争というものは、「勝てる」と思ったときに起こすものです。逆を言えば、日本にできることは、中国に「勝てる」と思わせないこと、ということになります。

では、「どういう局面になると中国は勝てると思うのか」という話になりますが、軍事バランスで見たときに、今、中国はすでに、アメリカに対して7割ぐらい、もしくは7割プラスαの戦力を持っています。

つまり、アメリカ対中国の軍事力は10対7となりますが、アメリカは10割を全部、台湾周辺に持って来られません。多くて5割です。そうなると5対7になってしまいます。

中国は「それなら勝てる」と思うかもしれませんし、残りの5割が来る前に戦争を始めて、早く終わらせようとするかもしれません。

撮影=西田香織

日本の防衛費増額が分岐点になるかもしれない

ただこれは、アメリカと中国だけのバランスです。アメリカ対中国が5対7でも、7-5=2の「2」の部分を、日本やオーストラリアが埋めることができれば、中国に「勝てる」と思わせないことができます。

そういう意味で、日本が防衛費を増やすということとか、日米同盟を強化していくことは、未来を変えるか変えないかの瀬戸際にあると言えると思いますね。

防衛費増額をめぐっては、「日本を戦争できる国にするつもりか?」という批判がありますが、戦争という災いが降りかかってきたとき、何の準備もしてないと、生命・財産が大量に失われることになります。

そうならないために、あらかじめ備えをしておくことは必要です。災いを跳ね除けるための準備をすることを「戦争できる国にするつもりか?」と言うのは、私は意味が違うと思いますね。

「外交か軍事か」という2択ではなく、戦争が始まる前も後も両方が必要になります。私たちは戦争観というものを考え直していく必要があるように感じます。