家賃収入108万円でも赤字が出るカラクリ

サブリースがあると家賃が確実に入ってくる安心感(誤った安心感)があります。

しかし、デメリットもあります。前述のように、入居者から得た家賃の一部が、サブリース業者に手数料として吸い上げられることです。

手数料には明確な基準はなく、新築の時期は家賃の5~10%程度、それ以降では同10~20%程度です。家賃が10万円、手数料10~20%なら、所有者に入ってくるのは8~9万円です。この手数料は大きな負担です。

2500万円の物件を頭金ゼロで購入する例を見ていきましょう。

登記費用と不動産取得税の約100万円のみ、自己資金として用意します(不動産会社が自社物件として販売するので仲介手数料はなしと仮定)。

頭金ゼロですから全額の2500万円を金利1.5%、35年返済で借り入れます。

すると、毎月の返済額は7万6500円です。では収支はどうなるでしょうか。

不動産会社の想定では、家賃は9万円、年間108万円です。利回りは約4%です。

経費は固定資産税・都市計画税で10万円、修繕積立金・管理費が18万円、ローン返済が91万8000円、火災保険料6万円です。

家賃収入108万円に対し、支出は125万8000円。なんと年間で17万8000円の赤字です。

不労所得どころか、5年で140万円以上の損に

さらにサブリースの手数料もかかります。この物件の場合、家賃の10%で年間10万8000円です。実際の収入はサブリース手数料を引いた97万2000円となり、ここから経費125万8000円を引いた年間28万6000円が赤字となるのです。

滝島一統『誰でも儲かる、わけがない 初めての不動産投資必勝ルール』(KADOKAWA)

不労所得が得られるどころか、赤字を出し続けることになります。生活に余裕を持つため、将来に向けて資産形成するために投資をするのに、逆に毎月2万円以上の持ち出しになってしまうのでは、何のために投資したのか分かりません。少なくとも5年で140万円以上もの損ですから、逆に生活が苦しくなってしまいます。

これだけでも驚きですが、さらにびっくりすることに、この物件のパンフレットには、「月2万円払うだけで2500万円のマンションが手に入る」という趣旨のことが書いてありました。収益どころか最初から月に2万円の持ち出しになることを正々堂々とうたい、むしろ、とても魅力的であるかのように書いているのです。ものは言い様ですが、恐ろしいことです。

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