9歳までの育ち方で能力がほぼ決まってしまう
子役の世界では、親が「ああしなさい、こうしなさい」と熱心に指導するご家庭のお子さんは、幼いうちはオーディションに合格しやすい傾向にあります。
けれども不思議なことに、9歳前後になると、ピタリと結果が出なくなってしまうのです。
代わりにめきめきと頭角を現すのは、本人のペースで自由にさせてもらってきた子。
最初は結果が出なくても、ある程度大きくなって自分を表現することが求められる年齢になると、がぜん能力を発揮し始めます。自分で考えて行動するくせがついているので、監督の「ちょっとこういうことやってみて」という要求にも、とっさに対応することができるのです。
これらの経験から私が確信するのは、子どもの能力を伸ばすために重要なのは「9歳前後までの育ち方」であるということです。
この時期の子どもに必要なのは、特別な教育ではありません。ありのままの子どもを「認め」、「見守り」、「待つ」ことです。この記事ではこのような子育てを総称して、「見守る子育て」と呼びます。
見つけた「好き」を認め、見守る
子どもが持てる力を発揮して幸せな人生を歩むためのカギは、この「見守る子育て」の中にあります。
親が「子どもの将来の幸せに直接つながりそうなもの」を過剰に与え、詰め込むのではなく、子ども自身が見つけた「好き」を認めて、見守るのです。
自らの好奇心を親に認められ、見守られて育った子は、「自分が興味を持ったことはいっぱい勉強していいんだ」と考えるようになるからです。
すると、学校の勉強だけではなく、人生全般において前向きで意欲的になります。
自分で人生を選び取り、自らの足で立っているという自信がありますから、たとえ躓くことがあったとしても、その経験を糧にして次にまた頑張っていく力が育ちます。