1日にとるたんぱく質は60g以上

1日のたんぱく質の推定平均必要量は、成人男性で50g、成人女性で40gとされています。さらに高齢になると、筋肉の老化が若い人よりも早く進むため、現状の筋肉を維持するだけでも1日60g必要といわれています。

鎌田實『介護の世話にならない 鎌田式「90歳の壁」を元気に乗り越える5つの極意』(エクスナレッジ)

しかし、僕たちが普段食べている和食は、どうしても炭水化物が多くなり、たんぱく質が不足しがちです。

さらに年齢とともに肉や魚を食べる回数が減る傾向にあるので、たんぱく質不足に拍車がかかります。現在、日本の高齢者で1日60g以上のたんぱく質をとれているという人は、ごく少数ではないでしょうか。

90歳の壁を超えようと思ったら、最低でも72gはゆずれないところです。理想をいえば、体重1kgあたり1.2〜1.5gはとってもらいたいのです。体重60kgの人なら、72〜90gのたんぱく質が必要という計算になります。

たんぱく質が足りないと、運動しても筋肉はやせ細っていくので、やがてフレイルになり、それにより行動範囲や活動量が少なくなると、寝たきりや認知症のリスクも高くなっていきます。

たんぱく質はいろんな食品からこまめにとる

たんぱく質というと、肉というイメージがあります。もちろん、牛肉や豚肉、鶏肉などの肉類は100gでおよそ20gのたんぱく質をとることができます。でも200gのステーキを食べても40gくらいしかとれないことになります。

そこで、いろいろな食品からこまめにたんぱく質をとることが重要になってきます。魚種によって差がありますが、魚は100gでおよそ20g、卵は1個で約6g、木綿豆腐半丁が約10g、納豆1パックで約8gのたんぱく質がとれます。

1人暮らしの人など食事内容が偏りがちで、たんぱく質が十分とれないという人も多いでしょう。最近はカップ麺などでもたんぱく質を多く配合した商品が登場しています。「高たんぱく」などの表示があるので、探してみるのもよいでしょう。

また、若い人がよく利用しているゼリータイプのプロテイン(たんぱく質)もおすすめです。僕は、こういう商品は高齢者こそ利用すべきだと考えています。

このほか、プロテイン入りミルクやプロテインの多いヨーグルトなどの商品もあります。食事だけでは必要な量がとれていない人は、こうした商品を利用してはいかがでしょうか。

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