「がんばらない」が人生のモットー
ぼくは現在77歳。年齢を重ねてもヨボヨボになるどころか、ますます元気になっています。医師や作家として活動しながら、日々バーベルをかついでトレーニング。77歳の誕生日には、77kgのバーベル上げに成功しました。
いま目指しているのは、自分の年齢と同じ重さのバーベルを持ち上げる「エージリフター」です。ゴルフの世界では、1ラウンド(18ホール)を自身の年齢以下の打数でホールアウトすることを「エージシュート」、達成したプレーヤーのことを「エージシューター」と呼んでいます。これを参考にして、エージリフターというオリジナルの言葉をつくりだしました。80歳になったら80kgのバーベルを持ち上げるのが目標で、このままいけば達成できるのではないかと考えています。
元気の秘訣は、食事と運動。ぼくは50年にわたり、健康で長生きするための習慣を発信し続けてきました。しかしながら、食事も運動も何か特別なことをしているわけではありません。今まで「食べたいものを我慢しよう」と言ったことは一度もなく、ぼく自身も大好きなラーメンや焼肉をよく食べています。
「がんばらない」がぼくの人生のモットー。90歳を超えても元気でスタスタ歩ける人生に近づくには、ちょっとしたコツがあるのです。
カギは「きん・こつ・けつ・のう・ちょう」
元気で長生きするためのカギとなるのが「きん・こつ・けつ・のう・ちょう」です。パッと見たり聞いたりしただけでは、呪文のようだと思うかもしれませんね。これは筋肉、骨、血管、脳、腸のことを指し、ぼくが提唱する長生き健康術の基本です。この5つが欠けるとどうなるのか、簡単に説明しましょう。
・筋肉:筋肉が衰えると、心身の働きが弱くなるフレイル(虚弱)の原因になる
・骨:骨が弱ると、骨粗しょう症や骨折のリスクが高くなる
・血管:血管が硬くなると、動脈硬化を招く
・脳:血流が悪くなると認知機能を低下させる
・腸:腸が乱れると不調や病気の原因になる
何歳になっても元気な体をつくるには「きん・こつ・けつ・のう・ちょう」を強くすることが大切なのだと、お分かりいただけたのではないでしょうか。
特に長生きの要となるのが「腸」の健康です。腸は免疫細胞の7割が集中する重要な器官。さらに近年は、脳と腸は密接に連携していることが明らかになってきました(福土審「脳腸相関」日本神経回路学会誌)。これを「脳腸相関」といい、ストレスでお腹が痛くなったり、腸の調子が悪いと精神的に不安定になったりする原因となります。腸が第二の脳と呼ばれるのは、このためです。


