健康で長生きするには、どうすればいいのか。循環器内科医の池谷敏郎さんは「注意してほしいのは血管の老化だ。血管は『物言わぬ臓器』と呼ばれており、自覚症状が出る頃には心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まっていることが多い」という――。(第1回)

※本稿は、池谷敏郎『血管の老化は「足」で止められた』(青春新書PLAY BOOKS)の一部を再編集したものです。

ウオーキングする人の足元
写真=iStock.com/baona
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健康維持のために重要な「足の血管」

人は血管とともに老化する――。もう100年も前からいわれ続けていることです。特に理由はないのに、なぜだか疲れが続く。手足が冷える。肌が乾燥する。シミが増えた。ちょっと階段を上っただけで息切れする。こうした「年のせい」と片付けられてしまいそうな、ちょっとした不調や悩みも、実は「血管のせい」であることが多いのです。

血管は、全身をくまなく巡り、酸素と栄養を送り、いらないものを回収してくれているので、その働き者の血管が老いると、全身が影響を受けます。ただ、逆にいうと、血管を若々しく保つことができれば、全身を若く保つことができます。ですから、「血管を若く保つことが大事ですよ!」と、患者さんたちにも、これまでに書いた本でも伝えてきました。そのことは、もちろん変わりません。

ただ最近、血管のなかでも「足の血管」に注目することが大切ではないか、と考えるようになりました。「なぜ足?」と思うでしょうか。理由は大きく2つあります。1つは、血管の老化のサインは足に出やすいから。もう1つは、「足の血管力」を高めることが、全身の血管力を高める手っ取り早い方法だからです。

足の血管力を意識することで、血管の老化をいち早くキャッチし、同時に、全身の血管を若返らせ、全身の血管の老化を防ぐこともできます。「人は血管とともに老化する」という言葉は、「人は足の血管とともに老化する」と言い換えられるのです。