健康塾のズボラ筋トレ講座も大人気

多くの人は、年齢とともにサルコペニアによる筋力低下や、関節や骨の病気などで移動することが不自由になっていきます。これがロコモです。

やがて重症化すると、抵抗力や体力が低下し、フレイルの状態になり、要介護状態へと進みます。要介護のリスクは、ロコモになると3.6倍になり、フレイルになると4.6倍に跳ね上がります。

前述の日本医学会連合の宣言では、フレイル・ロコモは気づかないうちに進行していることが多いため、早いうちから幅広い年代に対応することが大事であり、適切に対応すれば予防・改善できる、と強調しています。

その取り組みとして始めたのが、鎌田塾で行っている「ズボラ筋トレ講座」なのです。詳しいやり方は拙著『介護の世話にならない 鎌田式「90歳の壁」を元気に乗り越える5つの極意』で図解とともに紹介しています。

たんぱく質をとらないと筋肉は増えない

さらに、筋トレだけで筋肉量を増やすことはできません。そこで、私が提唱する「ズボラ筋トレ」を実践するとともに、筋肉の材料であるたんぱく質をしっかりとることをおすすめしています。

たんぱく質は、筋肉はもちろん、骨や血管の壁など、体をつくる大切な栄養素。不足すると、脳卒中を起こすこともあります。

日本では、欧米人のようなコレステロールが原因で太い血管が詰まるタイプよりも、たんぱく質不足で血管の壁がもろくなり、細い血管が破れたり詰まったりして発症するタイプが多いといわれています。

ボストン大学医療センターの研究では、1日平均100gのたんぱく質を摂取している人は、摂取量が少ない人よりも高血圧のリスクが40%低いとしています。たんぱく質不足で血管がもろくなり、高血圧を起こしていると考えられます。