全世界株で運用した場合の平均年率は8%超
全世界株式型による長期運用を行った場合を見てみましょう。長期の運用実績が残っている世界先進国株指数(MSCI ワールド・インデックス、円ベース、配当込み)によれば、1987年12月以来の平均年率で8.25パーセントというリターンが出ています。ちなみに、2009年以降で投資成績が最も悪かったのが18年のマイナス10.6パーセントでした。
最近10年の全世界株式型ファンドと米国型ファンドを比較してみるとよくわかります。どちらも基本的には同じような動きをしているのですが、縦軸の高さが違っていて、2012年現在の値動きを100とした場合、10年後の22年時点での「全世界」が400なのに対し、「米国」が600と高くなっています。「先進国」は間を取って500となっています。
例えば、「全世界」の「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は、MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス。世界株投資のベンチマークとして世界中で用いられている信頼度の高い指標)に連動することを目指す投資信託で、先進国23カ国と新興国24カ国にまたがる2314銘柄(2023年5月18日現在)で構成されています。このように分散されている方がローリスクで安心なのですが、比較的ローリターンということになります。
一方、S&P500(ダウ・ジョーンズ・インデックス社が公表する米国株式市場の総合株価指数)をベンチマークとする「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」が組み入れている銘柄数は505銘柄(2022年1月末現在)なので、こちらの方がリスクが高く、リスクが高い=リターンも出るときは出るということです。
そして、中間的存在としてあるのが、「ニッセイ外国株式」のような先進国株型です。これは日本を除く先進国株を対象とし、7割以上が米国株。時価総額で世界の株の85パーセントをカバーしているのが特徴です。
リターンが高ければリスクも高い
リターンの高い低いというのは、大まかに見てリスクの高い低いに連動しているものと考えていいでしょう。投資においては誰もがローリスク・ハイリターンを欲するところですが、そうそう簡単にはいかないようです。
リスクは、金融の世界では「不確実性」と言われます。いわゆるブレですね。どんなタイプの投資であっても、ブレというものを捉えておかなくてはなりません。いわゆるリターンはプラスのリターンを指すことが多いですが、成績がマイナスになる場合は、マイナスのリターンというふうに言われます。
全世界型でも、3パーセントや5パーセントの利回りは普通に出ており、通常、7〜8パーセントくらいの利回りで回っています。
投資信託には、管理・運用のための経費として払い続ける信託報酬という費用が発生します。インデックスファンドの場合、信託報酬は年0.1〜0.5パーセントくらいと、安いところが多いようです。新興国の場合で0.6パーセントくらい。アクティブファンドはやや割高ではありますが、それでも0.9〜1.3パーセントくらいと、以前よりも安くなっています。