元夫側から嫡出否認を申立
ただ、元夫は生まれた子どもは自分の子どもではないということは断言しています。
そこで元妻からの「親子関係不存在確認」の申立を取り下げてもらって、元夫のほうから、この子どもは自分の子どもではないという申立、すなわち「嫡出否認」の申立をしてもらうことが可能であれば、そちらの手続に切り替えるほうが適切に対応できるのではないかということになりました。
幸い元夫は寛容な人で、その申し出にこころよく応じてくれましたので、この子どもについて、法律的に父親と推定される元夫の子どもではないということが確認され、次に実際の父親とされる男性とこの乳児との間でDNA鑑定を行って、父子関係を確認し、認知を行って、この子どもの無戸籍状態が解消されることとなりました。
1例目のケースでは単身赴任中とは言いながら実質的には別居状態に近いときに妻が妊娠し、夫とは別の男性の子どもを出産しています。しかし、同居していても妻が別の男性の子どもを妊娠し出産間近なことに夫はまったく気がつかないというケースもあります。これが2番目のケースです。
読者の方は夫婦関係の不思議さや、協議離婚の落とし穴に気がついていただくことができたのではないかと思います。また、離婚に関して思いもかけない多様なことが起こりうること、そして実際に起きていることについて認識していただけたことと思います。