妻から届いた申立書に書かれていたこと

元夫はいわゆるサラリーマンで、朝9時から5時までの勤務ですが、通勤時間が長くかかるため朝早くに出勤し、残業がしばしばありました。他方、元妻は夜にアルバイトをしており、2人の生活の時間帯はすれ違いで一致しない傾向がありました。そのため次第に顔を合わせても、簡単な言葉を交わすだけだったりして、意思疎通することが少なくなってきていました。

ウェディングケーキの配偶者は、新たな問題のためにお互いに背を向ける
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2人の間に子どもはいませんでした。確かに元妻は、仕事の都合で友人宅に泊まると言って、朝帰りすることはありましたが、自分としては元妻を信じており、通常の夫婦として家庭生活を営んでいると思っていました。ただ、過去数年間、性生活が途絶えていました。ただ、それは妻が夜に仕事をしており、深夜に帰宅したり、仕事で互いに疲れているためだと思っていました。

しかし、元妻の「親子関係不存在確認」の申立書には、申立理由として、婚姻が破綻しており、別居生活が過去数年間続いて、夫と会っていないため、2カ月前に出産した子どもは元の夫の子どもではないと記されていました。

親子関係不存在確認は認められず

そこで元夫は、回答書には、過去数年間性交渉はなかったため、出生した子どもは自分の子どもでないことを認めるが、ただ妻と別居中というわけではなかった、破綻状態だったとは思わないと記して、家庭裁判所へ返送しました。

裁判所としては、「親子関係不存在確認」は、男女の関係が完全に断絶していて会うことがなかったり、たとえ会ったとしても、まったく第三者的な会い方を屋外でしていたりというように、客観的に外形から判断して、男女の間で性行為がなされようがなく、そのことについて男女が合意しているという場合に、確認することができます。元夫の述べるところは元妻の述べるところとは大きく異なっています。元妻は帰宅していて、2人は離婚直前まで生活をともにしていたというのですから、「親子関係不存在確認」の要件を満たしておらず、手続を進めるわけにはいきません。