勝手に結婚届や離婚届が出されるケース

妻が出産した子どもが夫とは別の男性の間にできた子どもである場合、そのことを夫に知られないために、しばしば出生届を地方自治体の役場へ提出しないことが起こります。無戸籍の子どもの問題として注目を集めています。しかし、逆に、夫にとって自分の子どもでもないのに自分の子どもとして戸籍に登録されることも起きています。

日本の婚姻制度では、勝手に婚姻届が出されて結婚したことにされたり、このケースのように勝手に離婚届が地方自治体の役場に出されて、離婚したことにされてしまうことが起きています。これを防ぐ方法として「婚姻届不受理」や「離婚届不受理」の申出がありますが、十分に機能しているとは言いがたいように思われます。

先進国では数少ない、離婚届を行政機関に提出しさえすれば離婚が成立するという「協議離婚」の制度を持ち、これを用いて離婚する人が圧倒的に多いのが日本の特徴です。協議離婚による離婚届について言えば、自分の知らないうちに勝手に離婚したことにされてしまう可能性があり、実際にそのようにされてしまった人もいます。

このケースでは、あえて言えば勝手に離婚届を偽造されて提出されてしまったわけですが、男性は実質的に自分たちの婚姻関係は破綻してしまっていると認識し、それを追認することにしたようです。

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妻は再婚し、子ども2人を新しい夫と養子縁組

妻は離婚すれば妻ではなくなりますが、子どもはそのようなわけにはいきません。妻は離婚届を出したのち、自分との婚姻中に実質的に同棲していた男性でもあり、長女の実の父親である男性と再婚しました。その際に2人の子どもとその男性との間で養子縁組をしました。

自分が単身赴任して以来、十数年にわたって子どもと会った回数はほんの数えるほどしかなかったため、妻が子どもの親権者となるのは順当なことと思われました。妻が長男の親権者となれば、離婚後の単独親権制度のもとでは、実子である長男が妻の再婚相手と養子縁組するのを阻止したり、異議を申し立てる手立てはありません。

しかし、自分に長女がいるとされていることだけは訂正したいと考え、「親子関係不存在確認」の届を出しました。ほんのたまに帰宅することがあっても、妻とほとんど会う機会はなく、寝室をともにしたこともなかったからです。自分の実子ではない子どもは、もう自分の戸籍からいなくなったからそれでいいのだというわけにはいきません。