すでに年末調整の書類を会社に提出した人も多いだろう。経済評論家の荻原博子さんは「年末調整は会社に任せっきりでいい。しかし、年末調整では取り戻せない税金があり、確定申告したほうがお得になるケースは多い」という――。
会計事務処理をする人
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年末調整は雇用主の義務。会社員なら確定申告は不要か

「年末調整」の季節です。

自営業者などは、その年の収入を翌年「確定申告」をして税金を支払いますが、会社員や公務員など給与所得者は、あらかじめ予想される所得税を、社会保険料や住民税と一緒に会社が徴収し、年末に過不足を精査して、多く取りすぎていれば返金し、不足していれば再度徴収しています。これが、「年末調整」です。

この「年末調整」があるので、給料をもらっている人は、自営業者のように自分で「確定申告」する必要がありません。

確かに、「年末調整」を会社にしてもらうとラクなのですが、「年末調整」では精算できない費用もあります。

たとえば、「医療費控除」などは、「年末調整」には反映されないので、翌年、改めて「確定申告」をして、払い過ぎの医療費を戻してもらうようにしなくてはなりません。また、副業や兼業などでほかに収入があった場合なども、「年末調整」後に、本人が「確定申告」しなくてはなりません。

給与所得者でも「確定申告」しなくてはいけない人

「年末調整」は、給料をもらっている人なら会社でやってもらえますが、「給料をもらっている会社員」でも「確定申告」をしなくてはいけないケースはあります。

それは、主に下記の7項目に該当する人です。

1)年間給与金額が2000万円を超える人
勤務先で「年末調整」をしていないので、翌年に自分で「確定申告」が必要です。

2)2カ所以上で勤めている人
本業となる企業以外での所得が20万円を超えると、確定申告が必要です。

3)副業など(配当所得、不動産所得を含む)の合計が20万円以上ある人
1カ所から給料を受け取っている人でも、給与所得と退職所得以外の副業収入が20万円を超える人は確定申告が必要です。

4)保険の保険満期金や解約返戻金のような臨時収入が一定額以上ある人

5)災害減免法で源泉徴収の猶予などを受けている人

6)源泉徴収義務のないものから給与などの支払いを受けている人

7)退職所得について、正規の方法で計算した場合に、その税額が源泉徴収した額よりも大きくなる人

以上は、「確定申告」しなくてはいけないケースですが、これに該当しない「確定申告しなくてもいい人」でも、申告したほうが得になるというケースは、かなりあります。