還付申告は、5年を遡っても申告可能

会社員だからと、すべて会社任せではなく、もしかしたら「確定申告」で取り戻せる税金があるかもしれません。

ちなみに、共働き世帯でも生計を一にしているとみなされるため、収入の高いほうがすべての医療費を合算して「医療費控除」を申請するといいでしょう。たとえば、年収600万円で、母または父(70歳以上)と2人の子どもを扶養している場合、年間30万円の医療費を「医療費控除」してもらえれば、所得税が約2万円戻ってきますから、バカにならない額です。

丸薬、電卓、シリンジ、机の上の領収書
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自営業者の場合には、「確定申告」の時期にしっかり申告しないと、納税が遅れているということで「追徴課税」される恐れがありますが、給与所得者の場合、大半は「年末調整」が終わって税金を納めている中で、払い過ぎの税金を戻してもらうことになりますから、そうした還付申告のケースでは、「確定申告」の時期が過ぎてしまっても、5年間は請求して払い過ぎの税金を戻してもらうことができます。

「そういえば3年前に親(生計を一にする)が大病をして、ずいぶん医療費がかかった」というような人は、医療費の領収書を引っ張り出して「確定申告」をしましょう。そのためにも、医療費などで支払った領収書は、最低5年は保管しておくといいでしょう。

年末調整は会社に任せても、確定申告は自分で行うことでお金を取り戻せるのです。他人任せでは取り戻せるお金も取り戻せません。年末調整のこの時期は特に意識しておきましょう。

荻原 博子(おぎわら・ひろこ)
経済ジャーナリスト

大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。家計経済のパイオニアとして、経済の仕組みを生活に根ざして平易に解説して活躍中。著書多数。