リンとカルシウム、血液中のたんぱく質が結びつくと、血管の内側を傷つけて炎症を起こしたり、石灰化を誘導したりします。こうして、動脈硬化を引き起こすのです。動脈硬化は糸球体の血管にダメージを与えます。

腎臓に負担をかけるワースト3が、喫煙・内臓脂肪型肥満・塩分です。

喫煙は血管を収縮させて、腎臓の血流量を減らします。タバコの本数が増えるほど、腎機能障害は進みます。1日に20本以上吸っている人は、吸わない人に比べて末期腎不全に至る率が2.3倍というデータがあります。

そして、過食と運動不足によって内臓脂肪が蓄積した内臓脂肪型肥満は、「リンゴ型肥満」とも呼ばれています。これに、糖尿病・高血圧・脂質異常症の中で2つ以上を合併した状態が、「メタボリックシンドローム(メタボ)」です。

喫煙、過食、運動不足、メタボはリスクが高い

米国腎臓学会の学会誌に発表された研究によると、内臓脂肪型肥満の人はそうでない人に比べ、腎臓の機能が低下して血圧が高めであり、年齢が進むと慢性腎臓病を発症するリスクが高い傾向があるとのことです。

理由としては、メタボによる高血糖が考えられます。血糖値が高いと血管の炎症の原因となり、進行すれば血管の詰まりを誘発します。当然、糸球体の毛細血管にも悪い影響しか与えません。

健康診断でメタボと診断されたり、おなか回りが気になったりする人は、食べ過ぎ・飲み過ぎはないか、普段の生活を見直してみましょう。「そんなにたくさん食べていない」のにメタボ気味の人は、炭水化物を過剰に摂取していないか、注意してチェックしてみてください。

また、腎臓は体内の余分な塩分を排泄する働きをしています。食事で塩分を取り過ぎると、排泄しなければならない量が増えるので腎臓に過度の負担がかかります。この状態が続いたら、腎臓が疲れ切って、慢性的に機能が低下します。

厚生労働省が実施している「国民健康・栄養調査」(令和1年度)によると、日本人の1日当たりの食塩摂取量は平均10.1gとなっています。加工食品やインスタント食品、ファストフードを避けるだけでも、塩分摂取量は大きく減らせます。8人に1人がかかっているとされる慢性腎臓病の予防には、こうしたことを心がけるといいでしょう。

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腎臓の機能を正常に保つ方法

元気な腎臓を保つには、生活習慣の見直しが必要です。しかし、生活習慣の見直しは、あまりにストイックに考え過ぎると、いわゆる「三日坊主」で終わってしまいます。

拙著『人は腎臓から老いていく』(アスコム)では、腎臓を元気にするために、「食」「運動」「呼吸」の3つの観点から、簡単にできて毎日続けやすい習慣について解説しています。

本記事では、もっとも日常的な「食」の観点から、みなさんにおススメの習慣をご紹介します。それが、「腎臓のおそうじスープ」です。