「2度目のロシア革命」の可能性は今も残されている
ワグネルも、プリゴジン氏自身もプーチン政権が生み出した存在だ。逆を言えば、プーチン氏の支持がなければ存在できない弱さがある。
その意味で「革命発言」は、ショイグ国防相やゲラシモフ参謀総長(ウクライナ侵攻の総司令官)ら敗戦続きのロシア軍幹部への“口撃”であることは明らかだろう。彼らは「獅子身中の虫」であり、政権を揺るがす存在であると強調する狙いがある。
同時にプーチン氏に警告するかたちをとり、支持を調達する思惑も透けて見える。プリゴジン氏がSNSで過激な発言(主にロシア軍幹部批判)を繰り返し、国民からの人気集めに腐心するのも、プーチン氏に振り向いてもらうための方策に過ぎない。
戦争で最も被害を受けるのは国民だ。領土を奪われ身の危険を感じているウクライナの国民はもちろんのこと、侵略を仕掛けた側のロシアの国民さえ、豊かな生活から遠のいている。ウクライナ侵略でロシア軍は敗戦が続き、その負担は国民生活に重くのしかかっている。
プリゴジン氏による武装蜂起は1日で幕引きとなったが、国民に無償労働が課され、不満が爆発すれば「2度目のロシア革命」は現実のものとなるかもしれない。プーチン氏とロシア軍幹部の足元は今も危うい状況にある。